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JFKOルール の基準とは? 小林功師範が解説

2014.05.15
新極真会ニュース

第1回全日本フルコンタクト空手道選手権大会のルールについて小林功師範が語ったインタビューを空手LIFEから転載しました。出場される選手、セコンドの方は御一読ください。

――JFKOの第1回大会が迫ってきました。今大会は反則などの基準が厳しくなると以前から言われていたので、選手たちもかなり意識しているようです。実際のところ、これまでとどのような違いがあるのでしょうか。
「一言で言えば、規約にある通り、正確に反則を取るということです。『厳しく』というよりも、むしろ『ルール通りに反則を取る』という言い方のほうが正確だと思います」

――JFKOはフルコンタクト空手のオリンピック種目化を目指して設立された組織ですから、基準の明確化は重要ですよね。
「その通りです。200以上もの団体が大同団結する上で一番重要なのは、公平性と誰が観ても理解できるというわかりやすさです。規約に書いてある通りにジャッジをするのが一番シンプルで、公平で、わかりやすい方法ですよね」

――たしかに、そうですね。
「フルコンタクト空手の団体は数多くありますが、そのほとんどは大山倍達総裁がつくられたルールをベースにしています。有効技や反則そのものは、あまり変わりません。違うのは反則の取り方なんです」

――基準についてはJFKOの理事である小林師範と、西山亨師範(JKJO)、木村靖彦師範(極真連合会)が中心となったルール委員会で、一年近く検討されてきたんですよね。
「はい。最初は3人で違うところを調整し、JFKOの理事会で審議を重ね、新規約ができあがりました。基本的なルールはほとんど変わりませんが、やはり反則の取り方がひじょうに厳格になりました。じつは新極真内部でも2009年のワールドカップ・ロシア大会後、緑代表と世界に通用する選手を育成するにはどうしたらいいかということを話し合い、結果、審判としては、日本人選手の反則を少なくするために反則の基準を厳しくしていこうということになりました。とくに昨年の全日本大会は今までで一番厳しかったと思います。それによって名のある選手が減点で負けたということもありましたよね。ヨーロッパ大会などを見ると、反則が少なく、日本よりきれいな闘い方をしています。規約は同じなのにどうして違うのか。それは反則の取り方が違うからです。ヨーロッパは日本より厳しいですね」

――フルコンタクト空手の競技者は増えていますし、大会そのものも洗練されてきていますから、そういう流れになるのも必然なのかもしれませんね。
「ルールがあるわけですから、本来、ルール通りにやるのは当然なんですよ。正直、今までの新極真の大会では、攻防の流れを重んじて軽微な反則を取らない傾向がありました。しかし、オリンピックを目指して、多くの団体が大同団結する以上、我々もそこを改善していかなければいけません」

――新極真の大会では試合の流れを重視していたんですね。
「実戦性・武道性を追求し、相手を倒すことが最大の目的で、反則ではなるべく決着をつけたくないということが新極真内部の共通認識としてありました。そもそも武術としての空手には顔面攻撃はもちろん、金的攻撃も、投げもあったわけです。極真においても私が入門した頃は、こめかみや人中といった人体の急所を全部覚えろと言われたものです。むしろ急所を攻める技こそ空手の技だったんですね。1969年に開催された第1回全日本大会も、掴みあり、掛けあり、投げあり、多少の顔面攻撃もありでした。それが大会を重ねるたびにルールが整備され、現在のような闘いになってきたんです。もちろん初期のような試合をするわけにはいきませんが、そういう実戦的な要素を少しでも残しておきたいという意見が多かったことも事実です。だから、試合に影響のない掛けや押しなどは取らないこともありました」

――しかし、オリンピックを目指すためには競技性も重視しなければいけないということですね。今後は、たとえば「押し」と判断された場合、すぐに『注意1』になると考えていいのでしょうか。
「基本的には即座に『注意1』となります。JFKOの競技規約に反則の項目がラインナップされていますが(表1)、新極真ルールよりも若干項目が増えています。とくに注意しなければいけないのは、やはり『掴み』『掛け』『押し』『抱え込み』『頭、体を付けての攻
撃』などです。今までの新極真の大会では、これらの反則の行為が軽微であった場合は『注意1』を取らないこともありましたが、JFKOではわずかでも確認できた場合、3人以上の判断で『注意1』となります」

ルール1

――少し具体的なシチュエーションについてうかがいますが、「掛けたけれども攻撃はしなかった」という場合はどうなりますか。
「状況にもよりますが、副審3名以上が『掛けた』と判断した場合は反則になります。新極真の大会では副審3人が旗を振っても、主審の判断で取らないこともありました。JFKOでは3人の副審が反則と判断したら必ず取ります。何か特別な理由があって反則を取
らない場合は、審判団で協議し最終判断を下します。また、掴みや抱え込みを両選手が行なった場合、両方の反則になることもありますが、審判はどちらが先に仕掛けたかをしっかり見て、極力どちらか一方の反則になるようにします」

――それは相手に押されて、倒れないように掴み返したといった場合ですね。先に押したほうだけが反則になるということですか。
「そうです。先に仕掛けたほうが反則になります。それから『注意』が積み重なっていく場合ですが、新極真の大会では注意2つで『減点1』となっていました。JFKOでは『減点1』ではなく『注意2』という言い方をします」

――「減点」がなくなったのは、なぜですか。
「シンプルにしたほうがいいのではないか、という意見があったからです。2回目の『注意』があった場合の主審の言い方は『注意1、合わせて注意2』となり、3回目は『注意1、合わせて注意3』となります。今までの『減点1』に値する大きなダメージは『注意2』となります。『注意4』で失格になるのは同じです」

――判定の基準も今まで以上に明確になりましたね。
「はい。一本、技有り、ダメージ、有効打、手数・足数、積極性。これが判定基準の優先順位です(表2)。新極真の規約では『有効打を含む手数・足数』となっていますが、JFKOでは『有効打』が『手数・足数』の上に位置しています。ただ、『一本』『技有り』より下の項目はトータルで判断されます。たとえば下段蹴り一発だけでダメージを与えたとしても、その後にスタミナが切れて手数・足数で押されてしまったら負ける可能性が高くなります。そういうふうに試合全体の中で判断されます」

ルール2

――体重判定がないというのも、これまでの新極真の大会と違う点ですね。
「もともと体重別のトーナメントで体重判定をするのはどうなのか、という意見は新極真の中にもあったんです。JFKOは4階級になり、より細分化されますから、なおさらですよね。体重判定がないということは、純粋に試合内容で判定されるということですから、延長、再延長になれば微妙な差でも勝敗が分かれてしまうこともあります。そのあたりも注意が必要ですね」

――もう一つ、新極真の選手にとって未知なのが主審の「同時挙げ」ですね。
「新極真では副審が旗を挙げた後に主審が自分の判定と一緒に旗の数を数えていました。すると中には、主審が副審の判定を見てから決めているんじゃないかと思う人もいたようなんです。実際にはそんなことはないんですが、誤解があってはいけないので、JKJOで行なわれていた同時挙げを採用することにしました。オリンピックを目指す上でも、そのほうが望ましいだろうという考えもありましたから」

――たしかに柔道なども同時挙げですよね。
「主審と副審は見る距離や角度などが違うので、判定が分かれるケースが出てくるのは仕方ないと思いますが、全員が正しく判断できるように審判のレベルを上げていく必要があると思います。審判講習会を行ない、精度を上げていきたいと考えています」

――最後に審判長の立場から、選手たちへのアドバイスをお願いできますか。
「まずはルールを把握することが大事です。規約にしっかり目を通している選手はあまりいないかもしれませんが、勝つためにはそれも必要なことだと思います。とくに反則、注意、失格、判定基準。どうなると勝ちで、どうなると負けてしまうのか。たとえば『注意3』を取られたら、『技有り』を取らないかぎり負けてしまう。『注意2』を取られたら『技有り』がなければ引き分けか負け。そういうところをよく知ってもらいたい。このように、注意を取られれば勝ちが遠のいてしまうわけですから、やはり反則をしないということが重要になってくると思います」

――そのためには稽古の時から意識することが大切でしょうね。
「苦しくなると掴んだり、優勢になろうという気持ちから勢いで押してしまうと思うんですが、それは『楽をしている』ことでもあると思うんですね。苦しい時こそ、突き・蹴りをしっかりやるようにすれば、反則はしなくなるし、その選手のレベルも上がっていくと思います。それを稽古から意識して行ない、そして、試合でも『反則はしないし、強い』と他の選手の模範となる闘い方をしてもらいたいですね。新極真の選手の総合力は高いと思うので、反則をしなければ絶対に勝てると信じています。基準が厳しくなったからと萎縮するのではなく、正々堂々、自分を信じて闘ってほしいですね。そうすれば新極真が目標として掲げている全階級制覇を成し遂げることもできると思います。今回の大会は新極真会以外の審判員も入りますが、各試合場では『審判監査』がそれぞれの試合を厳しく監査しますので、今まで以上に公平に行なわれます。そんな公平な闘いの中で、新極真の強さを証明してほしいと願っています」


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