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第11回世界大会日本代表強化合宿

2015.10.18
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 武道回帰――。第11回世界大会は、〝武道〟が大きなテーマのひとつになっている。
 たしかに空手は武道に違いないが、JFKOを中心にしたフルコンタクト空手のオリンピック種目化運動もあり、やや軸足が競技の方向へ踏み込んでいる印象もある。競技と武道のほどよいバランスが空手を形成する核とするならば、世界大会が開催される今年こそ、武道を見つめ直すいい機会なのだろう。とくに世界大会は体重無差別で行なわれるため、小よく大を制することができることからも競技と武道が融合する究極の形といっていいのかもしれない。

 そうした中、山梨県の富士緑の休暇村で日本代表強化合宿が行なわれた。全員が集まって稽古する最後の合宿だけあり、緑代表、小林副代表、三好総監督、奥村監督、木元師範、そして世界と闘ってきた最強のコーチ陣が揃い、稽古初日から檄が飛び交った。
 強化合宿といっても特別なことをするわけではない。基本稽古が終わると、ミット打ち、補強、組手稽古が延々と続く。だが選ばれし男女27名は、「王座死守」「伝統継承」という明確な目的を持って参加しているため、稽古に取り組む意識が違う。とくに組手稽古は、海外の選手を想定した闘い方をイメージして動いていることがほとんどだったという。
 コーチ陣も、動きの中から注意点が見つかれば、すぐにアドバイスを送って修正点を伝えるなど息の合った連携が多くみられた。選手とともに闘っている。代表チームの指導者の熱意は、選手たちにも伝わったことだろう。

 ここに掲載している選手の写真は、全力を出し切っている表情を選んでいるため、あまりカッコいい場面ではないかもしれない。しかし塚本徳臣コーチが、「稽古をしている選手は、意識が内側に向かっています。外に向かって強く見せることを考えずに、内に向かっていかに強くなれるかを考えるものです」と語っていたように、同じ方向を見ている象徴といえた。

 彼らが必死になって稽古する姿を見て浮かんだ言葉は、27の絆。27は日本代表の人数なので、厳密に言えば他流派を含めて29ということになる。この数字は、それぞれの人生が偶然にも出会うことにより、交わることとなったJAPANチームの力を示すナンバーといっても過言ではない。

 だが、新極真会の日本代表が27人だから27通りの絆という単純な計算ではなく、そこから派生する数はとてつもなく大きい。例えば日本代表男子のエース・島本雄二だけでも、緑代表、三好総監督、奥村監督、木元師範、各コーチ陣、日本代表選手たち、広島支部の大濱博幸支部長、家族、稽古仲間……と一つひとつ探っていけば無数に広がっていく。27を起点にして網の目にように広がる絆こそが、日本代表の強さでもある。

 絆という面では世界大会に参戦する外国人も同じなのかもしれないが、大きく違うのは覚悟の量であろう。空手母国・日本は、絶対に勝たなければならない伝統と使命がある。今回の合宿でも代表選手は「自分たちの代で負ければ、これまでの伝統が途切れてしまう。それだけは絶対にできません」と危機感を持っていた。優勝を目指しつつ、日本の伝統を守ることを最優先にする選手が多かったのは心強い限りだ。
 初日のミーティングでは、木元師範が現役時代に、第4回世界大会で故アンディ・フグと闘う試合映像が流された。その試合は残念ながら勝つことはできなかったが、世界大会ファイナリストとなったフグが最も苦しんだ相手として木元師範の名前を挙げた事実はいまだに語り継がれている。

「毎日、日誌をつけて自分のすべきことは何かを明確にして、ブレていないか確認することが大切だと思います」と木元師範は、日本代表にアドバイスを送った。日本が王座を守るために自分がすべきことは……。それを毎日、何度も確認してきたからこそ「フグの優勝を阻止するためには、少しでもダメージを与えておかなければならない」と自分の役割を全うし、信念を貫くことができたのだろう。
 今回、その雄姿を目に焼き付けた選手たちは、同じ思いで闘いの舞台に上がるはずだ。

 合宿の最後は、宿舎からバスで1時間半くらい走らせて身延山久遠寺へ移動した。ここは大山倍達総裁が修行したとされる地。必勝を祈願し、境内で基本稽古が行なわれた。山門を通ると菩提梯と呼ばれる急勾配の287の石段が待ち構えていたが、ポツポツと雨が降り始めてきたため石段での稽古は中止となり、撮影が優先された。

 しかしながら総裁がかつて修行した場所での必勝祈願は特別な思いが湧いてくるのか、それぞれの表情が引き締まっていく。もしかしたら武道回帰とは、今一度、日本の伝統を振り返り、それぞれが覚悟を決める儀式なのかもしれない。日本代表の覚悟は、世界大会で試される。

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(CAP1)
緑健児代表、小林功副代表、三好一男総監督、奥村幸一監督、木元正資師範、コーチ陣、日本代表が結束して男女の同時優勝を目指す。

(CAP2)
緑代表は、「世界大会まであと4ヵ月。やるだけやって、やり残したことがないという気持ちで、ベストコンディションで当日を迎えてください」と激励した。

(CAP3)
小林副代表は、最高審判長の立場から選手に反則などの注意をアドバイスした。

(CAP4)
試割りの稽古では、三好副代表をはじめコーチ陣が直接指導

(CAP5)稽古内容は塚本徳臣コーチが中心になって作成。コーチ陣みんなで話し合いながら稽古が進み、技術が伝授されていった。
(CAP6)
山本健策コーチも気合い十分。

(CAP7)
新保智コーチも熱心にアドバイスを送った。

(CAP8)
初日のミーティングでは世界大会へ向けての決意表明をそれぞれが語った。

(CAP9)
ミーティングでは、木元師範が第4回世界大会でアンディ・フグと闘った映像が流れ、その時の心境をコメント。

(CAP10)兼光のぞみコーチが、女子の日本代表を指導して外国人対策を叩き込んだ。

(CAP11)タイムレースは前田優輝がぶっちぎりで1位かと思われたが、重量級の山本和也が追い込みをかけて争った(ちなみに一回目が、前田、山本、河瀬俊作の順。女子の一回目は、加藤小也香、谷岡菜穂子、佐藤弥沙希。二回目の1位は島本一二三と谷岡)。

(CAP12)
森永製菓株式会社の提供で、各選手のシェイカーが用意された。

(CAP13)
決起会で絆を深め、みんなで男女同時優勝を誓い合った。

(CAP14)コーチ陣が率先して、使用したミットを掃除する。こうした目に見えない細かいサポートにも、日本代表への思いが込められている。

(CAP15) 奥村監督は何度も「王座死守」と「伝統継承」を言い続けた。これは、選手の意識に植え付ける効果もあるのだろう

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