第6回全世界ウエイト制大会におけるアンチ・ドーピング活動 


第6回全世界ウエイト制大会におけるアンチ・ドーピング活動  第6回全世界ウエイト制空手道選手権大会におけるアンチ・ドーピング活動についてWKOドーピング・コントロール委員会委員長内藤隆富師範からレポートが届きました。

 今回は第6回全世界ウエイト制大会の「国際大会におけるアンチ・ドーピング活動」を報告させていただきます。
私と古川副委員長は7月1-2日開催の大会に先立ち6月29日(木)、主催国のカザフスタンへ入国し、WKOアンチ・ドーピング委員会に出席しました。メンバーはヨーロッパ地区よりリトアニアのローマス・ヴィトカウスカスWKO理事、デンマークのヤン・ビュロウ支部長、ロシア地区より新たにアンチ・ドーピング委員に推薦され今回が初めての参加となるアンドレイ・キトキン支部長、地元カザフスタンの主催者を代表してドーピング検査担当のカナット・ベクマガムベトフ師範代、そしてカザフスタンのナショナル・アンチ・ドーピング機構のマラット・コルシュバイエフ氏、現地の女性通訳、WKOオフィシャル通訳として国際課の田中洋氏です。マレーシアのチャン支部長は欠席でした。

 会議が始まり、今大会での検査体制と検査に携わる人数をお聞きして愕然とし、日本とまったく認識が違うことを痛感しました。
カザフスタンのナショナル・アンチ・ドーピング機構は有効に機能していますが、分析機関(研究所)は過去の不適切な対応のため、WADAの制裁を受け、資格停止処分中です。ドイツの分析機関(研究所)に検体を搬送しなければならいという厳しい現実があるのは事前に把握していましたが、現地に行ってみてそれに加えて多くの難題があることがわかり、一つひとつ対応をしていきました。
ルール上、検体数は公表できませんが、全日本フルコンタクト空手道選手権大会と同じ階級数で今回開催されましたので、同数の検体を採取することを事前に打ち合わせていました。

 その係の人数は日本では日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から派遣されて検査を担当するドーピング・コントロールオフィサーが6名、選手にドーピングの通告を行ない、検査終了まで付き添って不正などがないかを見守るシャペロンという業務担当者(日本ではアンチ・ドーピング委員の支部長)が12名、そして表彰式や記者会見などのマスコミにも対応しなければならないのでシャペロン補佐(大阪では南大阪支部、東京では埼玉武蔵支部のボランティアスタッフが担当)が12名、合計30人体制で実施するのが通例です。
ところが主催者が準備していたのは、カザフスタンのナショナル・アンチ・ドーピング機構から検査員として派遣された3名のみでした。そのままでは、選手に通告する者もいないし、検査に多くの時間を費やし選手たちも係の方々も疲労、消耗する事が予測されたので大会当日まで極力日本の体制に合わせるよう強くリクエストしました。

 これまでロシア、リトアニアという海外でのドーピング検査の経験から日本のアンチ・ドーピング委員が、現地の係の方とマンツーマンでタッグを組んでサポートする体制を事前に考えていました。ところが会議の段階では、予想外の不足した人員配置で当日まで人が補充されるか「?」の状態でした。

 そして当日、フタを開けてみると検査員は3名のままでしたが、シャペロンはカザフスタン支部の若手のメンバーが12名用意されていて「何とかできるな」という体制になりました。日本のアンチ・ドーピング委員は8名が出席をしていましたので、私も含めて古川副委員長、高橋支部長、松本支部長には2回シャペロン業務を遂行していただきました。経験の浅い現地のスタッフを支援しながら通告や見守り、各階級の表彰式が終了するタイミングを見計らって検査室への誘導、そして検査員にバトンタッチしてドーピング検査の実施という流れで世界1クリーンで厳正な日本とほぼ同じ水準で実施する事ができました。

 また、今回のドーピング検査を何とか日本並みに実施できたのは、前日にアスタナの街で私たちが教えてもらったバスが間違っていて、そのバスを飛び降り、困っている時に「日本の方ですか?」と日本語で声をかけて下さり、私たちが無事ホテルまで帰れるようタクシーを止めて助けてくれたKuralay(クラライ)さんというロシア語、カザフスタン語、英語、日本語、中国語が話せる方が大会に来てくれ、献身的にドーピング検査の通訳として協力して下さったおかげです。

 大会開催中のドーピング検査に関しては日本では考えられないような多数のハプニングが起きました。現地のことや人々の気質、言語を熟知し、必要に応じてロシア語、カザフスタン語、英語そして日本語で臨機応変に対応して下さったKuralay さんはまさに地獄で仏ならぬカザフスタンのヴィーナス(女神)に出会った心境でした。
国際大会におけるアンチ・ドーピング活動はたくさんの困難に出くわしましたが、多くの方との出会いと協力によってこのように無事やり遂げることができました。

 良き人に出会えた運命と、すべての協力していただいた皆様に心から感謝申し上げます。
 ありがとうございました。押忍!!