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オランダ大会

2010.04.19
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一般の観客は驚きを隠せなかった様子だが、内部の人間は新極真会の大会がどういったものかを知っていた。キックボクシングや異種格闘技の経験者を多く含む950名の観客が見守る中、出場選手90名を2つの部門(国内色帯、インターナショナル)に分けて今大会は開催された。選手のスポーツマンシップや気合いはもちろん、コーチや観客も試合同様、とてもハイレベルだった。

国内色帯の部門が高いテクニック、タフさを披露する中、インターナショナル部門は素晴らしいテクニックを披露するだけではなく、「絶対あきらめない」気持ちが男子・女子の試合に表れていた。

今大会には、たくさんの元王者の姿があった。大会が行われたズトフェン市は過去大会王者であるクン・シャレンブルグ、ウィム・シャレンブルグ等を生み出した街として有名だ。直近の王者であるティム・ハヴァーカンプは日本での稽古の経験もあり、現在連勝記録を更新中である。彼はロンドンでの大会をはじめ、先日行われたベルギーでのダイヤモンドカップでも優勝している。今回は、彼がその連勝記録を生まれ故郷であるズトフェン市で伸ばせるかに注目が集まった。結果として、彼は優勝に輝いたが、道程は険しかった。特にスウェーデン支部のケビン・ヴィークルンドとの準決勝では観客も総立ちになった。

9分間にも及んだ厳しい戦いは、僅差ではあったがハヴァーカンプが経験値の差で制した。今大会の重量級選手の多くが軽量級の選手並みのテクニックを披露し、地元のハヴァーカンプの優勝が決まった瞬間、会場は歓喜に包まれた。今大会の参加選手は全体的にレベルがとても高く、各支部が精鋭を送り込んで来た事は誰の目にも明らかだった。軽量級のアディヴィ・ガンバリ、中量級のエヴェン・マンセカーも順当に決勝まで勝ち上がり、見事優勝に輝いた。女子重量級では、ギリシャのキャロリーン・ブリックスが苦しみながらも見事優勝。女子軽量級では、オランダのマルティネ・ピエテルスマが大方の予想を裏切り、安定した強さで優勝に輝いた。

ズトフェン市は今まで多くの日本人(指導員・出稽古生)を受け入れてきた歴史があり、日本の新極真会との絆は強い。全てはクン・シャレンブルグ支部長が昔の総本部に内弟子として稽古した事から始まり、その後彼の弟子によって伝統は継承されてきた。アンドレ・ヴィシュ、マイケル・ゲリットセン、マーティン・メラート、そしてティム・ハヴァーカンプもこの伝統を守り、日本で稽古を積んだ。ズトフェンではそのような修行期間が空手に対する「気持ち」や「考え方」に好影響を与えると考えられている。特に異国で修業をする事、中でも空手母国である日本での修行が経験者から最も勧められている。同じく、オランダでの出稽古を希望する日本人も多く、現在も二国は強い絆で結ばれている。

ズトフェンは小さな町だが、柔道やキックボクシングの多くの実力者がいる事から、おオランダでは武道の町として知られている。そのためか、今大会に訪れた観客の観戦マナーはとても良かった。

今大会のハイライトにもなったのが、昨年癌のため亡くなった元オランダ代表のフレッド・ミューラーの記念セレモニーだった。本人の組手スタイル同様、彼は癌に正面から立ち向かい勇敢に戦ったが、相手が強すぎた。彼の試合映像がスクリーンに流れた時、遺族だけではなく観客の多くも感動のあまり涙を流す場面があった。彼の功績を称え、オランダ支部よりスピリット賞が作られた。今大会のフレッド・ミューラー・スピリット賞の受賞者はオランダ支部の才能に溢れる若きウエスリー・ハンセンだった。大会後の恒例のさよならパーティーは今大会に関わった選手、コーチ、運営者にとって最高のエンディングとなった。

2010年オランダ大会参加国
• ベルギー
• ノルウエー
• ドイツ
• スウエーデン
• イギリス
• クロアチア
• ハンガリー
• ギリシャ
• オランダ

大会結果

国内色帯部門
女子60kg以上
1位 ミルハム・セインストラ
2位 メイケ・デ・ジョン
3位 チャンタル・ヴァン・アンゲレン

男子70kg未満
1位 アルヤン・マレクザデ
2位 ムスタファ・デミィル
3位 ランダルヴァン・ブロメンステイン
3位 カール・ハネワッカー

男子70kg以上80kg未満
1位 ドルク・ソイレメズ
2位 ロベルト・マクドナルド
3位 ローマン・セリエル
3位 ハンス・オルデルマン

男子80kg以上
1位 ロベル・ファッセン
2位 ピーター・オウデ・ロフイス
3位 ルード・セウレン
3位 ティム・ベーンドセン

インターナショナル部門
女子60kg未満
1位 マルティネ・ピエテルスマ
2位 プリシラ・ランブレグツェ
3位 エッマ・マークウェル
3位 リラナ・ミューラー

女子60kg以上
1位 キャロリーン・ブリックス
2位 ヘルガ・トス
3位 フランシエン・レイシガー
3位 ティハナ・ホルキク

男子70kg未満
1位 アディヴィ・ガンバリ
2位 マカエル・サフリン
3位 ウェスリー・ハンセン
3位 アラン・シュナワ

男子70kg以上80kg未満
1位 エヴェン・マンセカー
2位 ネナド・サンキク
3位 ダミル・ホダク
3位 デジャン・オブラニク

男子80kg以上
1位 ティム・ハヴァーカンプ
2位 ゴラン・デカニク
3位 フレデリク・オルソン
3位 ケビン・ヴィークルンド


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