過日、日本は過去最大規模の大震災に見舞われ、日本の存亡に関わる国難に直面しました。被災地では今なお避難生活を余儀なくされている方々がたくさんおいでている上、原子力発電所の被災によるさまざまな汚染問題は現在進行形で解決策が講じられています。現場で解決にあたっていただいている皆さまには感謝以外の言葉は見あたりません。
先月、ニュージーランドの震災にお見舞い申し上げたばかりで、今回は私たち日本がその立場となりました。震災により多くの大切な命が奪われ、津波は街をのみ込み、思い出すらかきむしっていきました。
今回の震災に際して、海外支部の皆さまがいち早く励ましのメッセージや、義援金を送っていただくなど、勇気の炎を灯してくれましたことに心から感謝申し上げます。
戦後経済成長を遂げてきたわが国は近年成熟期を迎え、物質的な充足に安定を見出していた傾向がございます。私たちは武道精神の振興によって、お金では計れない価値、真の豊かさを提起してまいりました。今、日本が立ち向かうべき困難は、何事にも動じない強い精神と利他の心といった武道精神を柱に、日本人全員が団結して乗り越えるものです。日本の底力が試されていると言わざるを得ない状況です。またいかなる状況におかれても希望の炎を灯し続けなければなりません。この気概こそが、世界の皆さまから頂いた優しさへの報いだと確信しています。
いよいよ、第10回世界大会の出場申し込みが開始されます。日本のメンバーは一致団結して世界の皆さまをお迎えする準備を進めて参ります。選手の皆さんにおかれましては、日々の稽古に精一杯精進して、最高の状態で日本にお越しください。皆さんの来日を楽しみにしています。
震災後、私と日本の役員が中国支部(上海)を訪問しました。奥村啓治師範が初めて開催する第1回全中国大会です。八年前、日本から単身中国に渡り、空手の新興に全力を投じた成果として素晴らしい大会を披露してくれました。大会の準備や運営、渾身の演武。どれをとっても、未開の地、中国に空手を振興させた気概と迫力を感じさせてくれました。また選手もよく戦ってくれました。中国支部の皆さんの頑張りを拝見し、日本の震災復興に力強い勇気を与えてくれた気がしました。奥村師範、本当にありがとうございます。
このように、世界中の支部長責任者が武道精神の振興に尽力していただいていることに誇りと敬意を表します。
世界を見渡せば、長引く経済の停滞や国際政治の混沌などが私たちを覆い包んでいます。今月は日本のお話に終始しましたが、今こそ希望を信じ、仲間を信じ、世界が一つになって次世代の子供たちに、素晴らしい「世界」を遺す役割を強く再認識するときです。
世界はひとつ。皆さまのご協力に心から感謝致します。ありがとうございます。
押忍
新極真会代表 緑健児