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佐賀筑後支部 吉村賢二 参段昇段レポート(2014年11月30日)

2015.02.11
昇段レポート

この度、昇段審査の機会を与えて頂き、誠に有難うございました。

思い起こすと、19歳の若僧の頃、当時、極真空手は生半可な気持ちでは入れない、と恐る恐る足を震わせながら入門した自分に対して、楠師範や先輩方が丁寧に対応して下さいました。 
が、予想した通り、組手になると容赦ない先輩の突き、蹴りにのたうち回され、翌日は何度も道場を前にして引き返そうかと思いましたが、自分に負けない事だけが取り柄で、まるで自分の体をエイッ!と道場に投げ込むような覚悟で毎日の稽古に通った日々が、懐かしく思います。

あれから27年の歳月がたち、弐段の黒帯も擦り切れて、すでにボロボロになりました。
思えばこれまで師範、先輩方に支えられ、入門当時あれだけ恐怖と苦痛であった組手も、毎日の稽古でやがて道場の仲間達と同等となり、お互い切磋琢磨し合い、そんな皆がかけがえのない友となり一緒に九州各地の選手権大会、やがて東京、大阪での全日本大会にも出場する機会を与えて頂き、試合に向けての猛稽古の疲労で、翌日の仕事に影響するくらい打ち込んだものです。

そんな中、98年の第8回佐賀筑後大会優勝、翌99年オーストラリア国際大会軽量級優勝の栄光は、入門当時のあのひ弱な19歳の若僧からしてみれば、目の前のどんなに高く分厚い壁でもただ未来を信じて乗り越えていけばいつかは夢にたどり着ける、その奇跡を知らしめた大切な経験の宝物であります。

しかしそれから30歳半ばを過ぎ、更なる夢であった全日本上位進出の夢は叶えられなかったどころか地方大会でも1、2回戦で負け、勢いのある若手選手に先越される日々が続きました。
稽古量が足りないのか?と更に追い込んでも結果は同じ、それどころか疲労による怪我が増えるばかり、でも何のためにここまで走り続けてきたんだ!このままでは未来を夢見ていた若い頃の自分に怒られる!・・・と、次こそはきっととまた試合に挑む、そして負ける、”引退”の二文字が頭をよぎったその頃、”賢二 お前今からこそが空手が面白くなるんだよ”と楠師範から言葉を掛けて頂きました。

当時は今思えば大変失礼極まりないですが、師範は何をおっしゃっているんだろう、こんな猛稽古の甲斐虚しく負け続けるのに面白いはずないではないか、と当時は正直そう思いました。

やがてそのまま数年が過ぎ、試合でスランプが続き(というか年齢的に当然ですが(笑い))あれだけ面白くないと感じた空手も稽古に来る度、これまでの空手人生の色んな汗の染み付いた黒帯をピシッと腰に巻いたら不思議なもので、つくづく自分は何があろうがやっぱり空手家なんだなぁと人生に有難さを感じます。

そして佐賀には月一度の帯研クラスがあり、それは大会前のいわゆる選手稽古とはかけ離れていますが、基本稽古、三戦、転掌を始めとした型により体の軸、腹圧を確かめ感じ、突きは肩甲骨、蹴りは骨盤腸骨、力は腹圧からそれらの骨を動かす身体の使い方の稽古で、それは若い頃、強さの源は筋肉だと浅はかに思っていた考えと大きく異なりますが、帯研で学んだ事を毎日の稽古で意識して実践する事により、まだまだ確かなものではないが、何か感じる、今までの筋肉に無駄に力んでいたものがすーっと抜けるような気がする、到達にははるか程遠いが、何か新しい事の入り口に入ったような気がする、そしてそれはとてつもなく面白く感じる、そうかあの時師範がおっしゃっていた”これから、この歳からが空手が面白くなるとはこの事だったんだ!”と強い感銘を受けました。

それともう一つ、これはあくまでも若い頃試合前にやっていた猛稽古の内容を否定するものではなく、あの若い頃の経験があるからこその今の考えに至り、そこから今まで一貫性があり、そして完成型に近づいているような、しかしそれを証明する必要があります。
 
そうした中ある日、20年も巻いてボロボロになった弐段の黒帯が何かを語っているかのような気がしました。
空手だけではなく、人生で何の飛躍も出来てない自分が今こそ一つ前進せよ、止まった時計の針を進めよとそう激励しているようでありました。

そして2013年12月昇段審査の許可を師範に頂き、約1年後の2014年11月30日、審査の日がやってきました。
試合の日とはまた違った緊張の朝を向かえました。
そしてかつて一緒に稽古していた後輩達や、この日のためにわざわざ熊本より普段から親しくさせて頂いてる熊本中央支部長の山崎師範も応援に駆けつけて下さり、本当に有難い力を戴きました。

基本、移動、そして型へと進み、これまでの集大成として腹圧は勿論、脱力と軸、体幹をテーマに稽古してきましたが、まだまだ所々に力みが入り、改めて型の目的と重要性そして奥深さを教えらました。

そしていよいよ最後の連続組手では、最後のテーマだった型を組手に繋げる理想とは程遠い腹圧が抜け、安定した受け返しが出来ず、後半にまともに攻撃をもらい過ぎて、大変見苦しく、無様な姿をさらけ出し、恥ずかしい次第でしたが、会場内の割れんばかりの暖かい声援とそして相手の一人一人が組手が終わる度、頑張れ!もう少しだと、それは今日のこの日までに至った日々の想いを呼び起こさせてくれるもので、これまでの空手人生の中で出会った全ての人々に恩返しする気持ちでただ全身全霊で相手に立ち向かい、そして連続組手終了。何も憶えていない、ただひたすら有難い大きな拍手の中、自分をここまで導いて下さった楠師範と握手して頂き、無事昇段審査を終える事ができました。

19歳の若僧は、当初自分になんか極真空手の黒帯なんか絶対無理だ、ましてや参段なんて、それは雲の上も上、神の領域だと思っていました。
その若僧が28年の時を得て、今参段の帯を締める事となったのは当時の自分からしてみれば信じられませんが、その28年間の空手人生で一つだけ掴んだものがあります。 

勝つ事は限られたものにしか出来ない、しかし”負けない”はどんな人間にだって絶対出来る、負けない、つまり逃げない、これは空手人生から掴んだ、これからの苦難があっても乗り越える人生の糧としてこれから参段の扉を開けて新たなる空手人生を歩きます。

まだまだ未熟で至らぬ点ばかりですが、後に続く後輩の模範として、そして青少年健全育成を通した社会的責任を実感し、今後も益々の精進に努めていく所存にございます。
 
最後にここに至るまで育てて頂いた楠師範、周りの全ての先輩、後輩、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

有難うございました。押忍

佐賀筑後支部
支部長/責任者:楠愼吾
連絡先住所:佐賀県佐賀市卸本町4番1号
電話番号: 0952-32-1910
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