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新極真会東京東支部 ケレケシュ・アンドラーシュ 初段昇段レポート(2023年10月22日)

2024.04.09
昇段レポート

よくある話しだが、私が空手に興味を持ち始めたのは父の影響だ。
父は武道の大ファンで、学生時代には自身も空手を少々習っていた。
私が子供の頃は共に様々なアクション映画を見たが、主人公は毎回東洋武道の達人だった。
それ以来、多くの子供達にそうだったように、私にとっても空手は超人的な強さを身に付けることができる、神秘的なものになったのだ。
勿論、子供の想像力や、映画で頻繁に見られる誇張が殆どだ。

私は幼少期の殆どを非常に小さな町で過ごした為、残念ながら空手のような特殊なスポーツに挑戦する機会はなかった。
首都ブダペストに引っ越しまず初めにした事は、最も近い武道クラブを探す事だった。
そこは伝統的な柔術の道場だった。

私は身体を動かす事も好きだったが、スポーツだけでなく身に役立つ事を学んでいると感じた。
この頃になると、父はよく極真空手をやってみろと言っていた。
道場の稽古仲間のひとりが、極真空手を教えている良い場所を知っていると教えてくれた為、行ってみた。
初日の稽古から、これに自分の出来る限りを尽くしたいと感じた。
機会があればすぐに大会に出場し、自身の運動に掛ける時間は空手で埋まっていった。
それと同時に、以前所属していた柔術の道場が閉鎖された為、私は極真の道を進むことに決めたのだ。

何が私を留めていたのかを考えると、黒帯を取得する事が目標だったからとは言えない。
当時は、それはとても達成できない、遠いものに感じた。
それ以上に精神力、お互いに対する敬い、厳しい稽古の方が重要だった。
殆ど全ての稽古は、大きな障害を乗り越えるようなもので、その気持ちが消えることはなかった。

年月が経ち、私が極真空手について感じている事を、面白い事にまたハリウッド映画が論じたものを見つけたのだ。
映画『ロッキー』で主人公が息子の進む道を正そうとする際に話した言葉だ。
「人生ほど重いパンチはない。だが大切なのはどれだけ強いパンチを打てるかではなく、どれだけ殴られても立ち続けられるかだ。こらえて前進し続けられるかだ。そうすれば勝てる。自分の価値を信じるならその為に戦え。その過程でパンチを受けるのだ。」

今日に至るまで、この言葉は映画史上最も重要な言葉のひとつだと考えているが、私がこの言葉を本当に理解し始めたのは、黒帯を得ることができる機が迫った頃だった。
先生に「次回の黒帯の審査を受けてみたいか。」と聞かれた。おかしな話だが、自分が黒帯を得られる事が想像できなかった。
考えたこともなかった。
十人組手に挑戦しなければならない事も知ってはいたが、それもあまり考えてはいなかった。
先生や稽古仲間のお陰で、毎回厳しい稽古ができ、稽古が終わる度に達成感を持って帰宅することができた。

十人組手の日が近づくにつれ、組手の稽古が多くなったが、慣れてはいた。
道場の仲間は皆強く、大会にも頻繁に出場するし、多くの人は道場以外でもトレーニングをしている為、不安は殆どなかった。
勿論、当日になって緊張しなかったとは言えない。

十人組手の際、自分自身と戦うという事がどのような事なのか、極めてよく理解できた。
次から次へと対戦相手が来るため、どれ程鍛錬を積んでいたとしても苦しくなるはずだ。
そして勿論、事前に試合について考えていたにも関わらず、殆どがパンチや蹴り技で終わってしまった。
この時に感じたのは、自身のパンチや蹴りの強さなど関係なく、ひたすら来るものを受け続け、前に進み続けるという事だった。
そうすれば勝てる。

何とか試合を終えた時は、爽快な気分だった。
先生や仲間、励ましてくれた皆には非常に感謝をしている。
振り返れば、長年に渡り指導してくれた人達や、共に訓練してくれた人達、稽古や試合で負かされた人達にも感謝している。
不思議な事に、黒帯を取得した後も、その実感はない。むしろ、今はまさに初心者のような気分だ。

黒帯を持つことの意味を頻繁に考える。
長年の訓練、忍耐、知識、それとも強さなのか。
人によってその意味は様々だ。
私にとっては謙虚さだ。
黒帯にふさわしい人間になり、励ましてくれた人達に恥をかかせぬよう、更に厳しい訓練を積みたいと考える。

 
東京東支部の情報はこちらよりご確認下さい。


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