この度は、参段の昇段をお許しいただき誠にありがとうございます。
自分と新極真空手の出会いは、今から二十七年前に遡ります。入門から五年目で初段挑戦。それから七年後に弐段挑戦。今回の参段挑戦は、それから十四年もの歳月が流れていました。
仕事も忙しくなり、自分を取り巻く環境は、空手を続けていくには年々難しくなっていきましたが、ここまで継続することができたのは、ある道場生との出会いが大きく影響しています。
今から二十数年前、ある若者が逢坂道場に入門してきました。
剣道の経験はあると言っていた彼でしたが、組手のセンスは全く感じられず、来るたびに対戦相手にボコボコにされ、足を引きずりながら帰る姿を何度も目にしました。
常々私は、「いつやめるんだろう」と思っていました。しかし、彼が空手をやめることはなく、苦節十年で昇段挑戦。なんと十人組手を完遂し、見事黒帯を取得したのです。
彼は空手の才能には恵まれていませんでしたが、「決して諦めない」才能に恵まれていたのです。何事もやめることは簡単です。
しかし、やめてしまえば継続の先に何があるのかを知ることも叶いません。私は継続の先に栄光を掴んだ彼の姿から、継続することの素晴らしさを学んだのでした。
今回、師範より昇段の許可をいただき、準備に入りましたが、納得のいく稽古ができず、審査直前で断りの返事を考えました。しかし、逆に「今自分にできる空手とは何か」という考えが頭をよぎり、今回の挑戦に至りました。
審査、特に十人組手は全く褒められた内容ではありませんでしたが、今現在の自分の力量を再確認できた良い機会にもなりました。今後、この経験を己の人生に生かし、参段の帯に恥じぬよう精進して参ります。
師範をはじめとして、お世話になった皆様方、本当にありがとうございました。心より感謝申しあげます。
押忍