3月13日~15日、第5回U-22強化合宿兼KCC日本代表選手団&JFKO大会強化合宿が、山梨県の富士緑の休暇村で開催された。男子主将の金岡陽大、女子主将の網川来夢といったU-22選手だけではなく、第2回空手Champion of Champions(KCC)への出場が決まっている日本代表選手(網川を含む)もオーバーエイジ枠で顔を揃え、82名が富士の麓に集結。3日間の過酷な稽古に取り組んだ。
【初日】
合宿冒頭の結団式では緑健児代表が挨拶を行ない、「君たちがこうして空手ができるのも、空手に理解のあるご両親の支えがあるからこそです。君たちが勝てばご両親も、師範も先生も先輩も皆喜んでくれます。勝って皆を幸せにする。そういう意識を持ってがんばってください。KCCの代表メンバーも本合宿に参加します。今回も日本が王座を守れるようにがんばりましょう。5月のJFKO全日本大会では、全階級新極真会が王座を死守しましょう。とくに重量級はKCCの代表選抜戦になりますので、気合いを入れてがんばってください。3日間やり尽くしたと思えるような合宿にできるように、意識を高く持って取り組んでください」と選手たちに言葉を送った。

選手強化委員長に就任した奥村幸一師範は「U-22強化合宿は今回が5回目になります。この合宿はJFKO設立を経て、第1回JFKO全日本大会が開催された2014年に、塚本師範の発案で始まりました。JFKO全日本で勝つために、そして世界大会につなげるために精鋭を集めたのがU-22強化合宿です。この合宿が何のためにあるのか。もう一度噛みしめてください。来年は世界大会の日本代表選手団が決定します。いろいろな人の思いを背負い、新極真会のために目標を達成しましょう。3日間、命をかけてがんばってください」と檄を飛ばした。

なお合宿不参加となった選手強化副委員長の塚本徳臣師範に代わり、今回の合宿の陣頭指揮を執った選手強化委員の島本雄二支部長は「試合に近い緊張感を持ち、この3日間で気づきや改善点を見つけ、課題を持ってまた5月まで稽古に励むことができる。そういった有意義な合宿にできるよう、一挙手一投足気を抜かずがんばっていきましょう」とエールを送った。

緑代表は稽古に先立って選手たちに「組手では自分からどんどん厳しくいきましょう。積極的に技を効かせるくらいの意識を持って、そういった組手を心がけましょう」と檄を飛ばし、基本稽古から合宿初日の稽古がスタート。各々が気合いを込めて取り組み、上段廻し蹴り200本も全力で完遂した。


続いては島本支部長の指揮のもと、移動稽古に移行した。ここでは島本支部長が檀上に上がり、動作の流れや足運び、体の使い方などのポイントを解説。組手につなげることを意識した指導が行なわれた。選手は教えを吸収すべく真摯に稽古に取り組み、全員で移動稽古を完遂した。

その後は男女とも階級別に分かれ、組手(1分5セット×4ラウンド、2分3セット×6ラウンド)を行なった。男女ともに試合さながらの激しい組手を展開した。

組手を終えると、補強トレーニングで肉体をいじめ抜いた。まずは2人組で腹筋を100回実施。スピードも重視して行なわれ、終わった選手から立ち上がる方式で腹筋運動の速さを競った。

続いて背筋を100回行なって追い込んだのち、腹打ちでボディを鍛えていく。最後に突きのフォローの稽古を兼ねて、蹴りから下突きにつなぐ形で腹打ちを10回実施。初日の稽古を締めくくった。緑代表は選手たちの取り組みに対し「今までで一番気合いが入った初日の稽古でした」と賛辞を送った。


稽古の後は、アンチドーピング委員会で委員長を務める内藤隆富師範と、同委員会の今朝丸英紀師範による、アンチドーピング講話が行なわれた。スライドを用いた内藤師範の説明で理解を深め、質疑応答を挟んで金岡陽大、渡辺和志、網川来夢、目代結菜が講話の感想を語った。


続くミーティングでは島本支部長から「つねに自分は新極真会の看板を背負っていることを忘れないでほしいです。個の闘いでもありますが、新極真会全体の闘いでもあることも意識してください」と言葉が贈られ、夕食を摂って合宿初日を締めくくった。
【2日目】
6時からの早朝稽古では、ランニングのウォームアップに続いてチームごとに分かれての競走形式のラントレーニングを実施。各種目で最下位のチームには拳立て伏せ10回が課せられた。


午前稽古の冒頭、緑健児代表が「大谷翔平選手は1日10時間近く寝て疲れを取っています。みなさんも合宿の休憩時間は睡眠を取って超回復して、リフレッシュして臨むようにしてください」と睡眠や休息の重要さを説いた。
基本稽古が終わると、山田一仁支部長が指揮を執り、移動稽古が行なわれた。「移動稽古のための移動稽古にならないように、組手を想定しながら行なってください」と山田支部長が語りかけ、前屈立ちでの中段追い突きからスタート。約30分間、みっちりと汗を流した。


移動稽古が終了すると、緑代表が「大山総裁はつねづね、一本勝ちをする華麗な組手をしてほしいとおっしゃっていました。ここにいる山本健策支部長は現役時代、上段廻し蹴りや後ろ廻し蹴りなどの華麗な組手を見せて、全日本ウエイト制大会の軽量級で6回優勝しています。会場のみなさんも、そういう選手を観に来ています。今は上段を蹴る選手が少なくなっているので、山本支部長に指導をお願いしたいと思いました」と山本支部長を呼び込んだ。
山本支部長はまず、上段廻し蹴りの蹴り方から伝授。続いて上段ヒザ蹴り、後ろ廻し蹴りを蹴る際のコツを指導し、選手たちはそれぞれのテクニックを実践した。

「この時間が一番きついですし、疲れているのはわかります。ただ、それでもやるぞという気迫、オーラが出ていなければいけません。疲れているからこそ気合いを入れて、3時間の稽古を乗り切れるようにしてください。苦手な稽古でも全力でやり切る。そういう選手がチャンピオンになります。絶対に自分に負けないようにしてください」
合宿の天王山となる午後稽古の始まりに緑代表から激励の言葉が贈られると、選手たちは力強く「押忍!」と返事を返した。
午前同様、基本稽古に続いて移動稽古が行なわれた。石原延支部長指揮の元、前屈立ちでの前蹴上げから始まりさまざまな移動稽古を行なっていく。最後は五本蹴りを行なってから、右の五本蹴りと左の五本蹴りをつなげた「十本蹴り」で締めくくった。

「しんどいと思いますが、テクニックのベースをつくる大事な稽古です。ずっと続けていたら必ず最後の最後に生きてきます」と、石原支部長も移動稽古の大切さや奥深さを選手たちに伝えた。
続く島本雄二支部長のセミナー前に、緑代表から「島本チャンピオンは世界大会を2連覇しています。当時はこちらとしても、島本選手だったら何とかしてくれるという安心感がありました。入来建武チャンピオンもそうです。今の女子では鈴木未紘選手がそういう存在です。しかしながら、男子は安心して任せられる選手がまだいないのが現実です。KCCや世界大会の選抜戦である全日本大会が控えている今年、そういう存在になれるようにがんばってください」と檄が飛んだ。
島本支部長のセミナーは、「ディフェンスからのオフェンス」がテーマ。またディフェンス→オフェンスだけではなく、オフェンス→ディフェンス→オフェンスなどの応用編も含め、2人1組の約束組手で体に染み込ませた。

組手では階級別の組手2分3ラウンドを3セット行ない、続いて階級をミックスさせた2分3ラウンドの組手を5セット行なった。

その後は補強トレーニングへ移る。拳立て伏せは2人1組で正面から向き合う形となり、じゃんけんで勝ったほうは10回、負けたほうは30回が課せられ、それを3分間繰り返した。ジャンピングスクワット100回の後は、階級別に分かれて腹打ちを20秒。相手を変えながら3セット行ない、過酷な3時間の稽古が終了した。


【最終日】
早朝稽古はランニングの後、ふたり組で柔軟を行ない終了。島本雄二支部長は各自体をケアするように選手へ呼び掛け、午前稽古に備えた。

3日間の締めくくりとなる午前稽古を前に、将口恵美コーチと石原凜々コーチが女子選手を集めて技術指導を行なった。技術指導の後に将口コーチは、合宿での学びを道場に戻ってからも意識する重要性、挨拶・返事・感謝の大切さ、JFKO全日本大会に向けてのエールなどを伝えた。

緑健児代表は選手たちに「ここまで満足できるくらい全力で稽古できた人もいれば、そうでない人もいると思います。自分自身を分析しないといけません。できていないと感じる人は、最後の稽古こそ手を抜かずにがんばりましょう。ここでのがんばりがJFKO全日本大会、KCC、世界大会の選抜戦である全日本大会につながっていきます。やり尽くした選手だけがチャンピオンになれます。人生ではいろいろな試練がありますが、厳しい稽古や試合に比べれば大丈夫だと、前向きに乗り越えていける日が来ます。がんばってください」と発破をかけ、基本稽古からラストの稽古が始まった。
上段廻し蹴り100本をしっかりと完遂したのち、組手に移行。緑代表は男女主将と第2回KCC日本代表を集め、全体を引っ張るようにと精鋭たちを鼓舞した。

組手に先立ち石原延師範からは、反則・注意に関するルール変更についてあらためて説明がなされた。緑代表は「本当に強い選手は反則をしないものです。それは証明されているので、反則をせず正々堂々と闘っていきましょう」と全体に呼び掛けた。
組手稽古は階級別に分かれ、男女交互に実施された(2分3セット×4ラウンド)。選手たちは合宿の締めくくりとなる組手で、最後まで妥協なく互いを高め合った。


組手の後は補強トレーニングへ。島本支部長は「疲れていると思いますが、組手中に疲れても止まることはできません。最後までがんばっていきましょう」と選手たちの心を奮い立たせた。
拳立て伏せ100回、背筋100回、ジャンピングスクワット100回で追い込み、最後の締めは腹打ち15秒を4セット実施。限界まで肉体をいじめ抜き、濃密な3日間の稽古を完走した。

解散式で緑健児代表は合宿の総評として、「皆さん本当に出し切ったと思います。JFKO全日本大会では全階級完全制覇、重量級はKCCの代表権を獲得できるように、これからも稽古に励みましょう。そして、新極真会がこれからもフルコンタクト空手界を引っ張っていきましょう。新極真会の選手は空手をやめずに現役を続けて、引退後は指導者になることも多いです。それも組織の強さのひとつだと思います。大会で勝った選手が少しでも、賞金でサプリメントやトレーニング器具などを購入できればと思い、KCCを開催しました。少しでも多く賞金を出せる組織になれるよう、我々もがんばっていきます。JFKO全日本では闘った選手同士にしかわからない、流派・団体を超えた絆もあると思います。そういった思いも大事にしつつ、試合になったら新極真会の意地を持ってがんばってください。大会まで最善の準備をしていき、また会場で会いましょう。本当にお疲れ様でした」と選手たちに言葉を贈った。

奥村幸一師範は「こんな合宿ができる選手は幸せだなと、その一言に尽きます。今回、忘れ物や体調不良もなく、無事に合宿を終えることができました。中学3年生はフルコンタクトルールで臨む初めての合宿できつかったと思いますが、このきつさは幸せなことでもあります。JFKO全日本大会の目標を全階級制覇ではなく、入賞を含めた『全階級完全制覇』にしたのは、各階級すべての入賞枠でWFKO世界大会の代表権を守ってほしいからです。昨年、ユース・ジャパンが20周年を迎えましたが、ユース第1期の卒業生であり世界チャンピオンになった島本雄二、将口恵美が今では支部長やコーチとして育成をしてくれています。この貴重な合宿での経験を活かして、JFKO全日本での完全制覇、KCC制覇とがんばってください。伝統継承!」と力強く語った。

続いて本合宿で主将を務めた金岡陽大と網川来夢、第2回KCC男女日本代表の面々が登壇。代表して金岡と網川、第1回KCCチャンピオンの岡田侑己、鈴木未紘が思いを語った。

「新極真会の組織力に感謝を忘れずに稽古し、5月のJFKO全日本大会では、新極真会が男女全階級完全制覇します」(金岡)
「この2泊3日で教わったことを持ち帰り、残りの2ヶ月で日本一の稽古をして、5月には力を合わせて男女全階級完全制覇できるように、大会に臨みたいと思います。感謝の気持ちを忘れず今後もがんばります」(網川)
「昨年10月の全日本大会では初めて王座が海外に流出してしまいました。今後、同じことがないよう覚悟を持って精進していきます。3日間ありがとうございました」(岡田)
「合宿で学んだことを活かし、JFKO全日本大会、KCCと結果で恩返しできるようにこれからもがんばっていきます。3日間ありがとうございました」(鈴木)
