日本の男女ダブル優勝に終わった第12回全世界空手道選手権大会。その二日後の11月12~14日の3日間にわたり、富士山の裾野・富士緑の休暇村で『世界空手セミナー2019』が開催された。参加したのは、日本を含む海外支部長・コーチ・選手の総勢約400名。そのうち107名が2日目の昇段審査会に挑んだ。
初日
メインアリーナに集合した参加者は、帯ごとに整列した。優勝した島本雄二、南原朱里を筆頭に、激戦を繰り広げた準優勝のマシエ・マズール、4位のヴァレリー・ディミトロフ、女子ファイナリストのインガ・ミクスタイテら世界大会に出場した選手も並んだ。
緑健児代表が世界大会の成功報告と労いの言葉をかけると、小林功副代表、三好一男副代表、海外の高段者を先頭に基本稽古に励んだ。
世界大会の成功を祝福するように、綺麗な富士山が顔を出していたこともあり、そのまま屋外で全員の記念撮影会を行なった。師範・選手たちの晴れやかな笑顔で交わす交流が、あの激戦を忘れさせるノーサイドの意味を持っていた。
記念撮影が終わると、そのまま稽古がスタート。昇段審査会の受審者とセミナー参加者に分かれた。セミナー参加者は参段・四段、茶帯~弐段が各講師に技術を教わった。昇段審査受審者は最終チェックの稽古を行った。
二日目
午前は、昇段審査会の一次審査が行なわれた。技術委員の外舘慎一師範の号令のもと全員で基本稽古、移動稽古、段位ごとに型を分けて実施した。審査委員の緑代表、小林副代表、三瓶啓二師範、ブライアン・フィトキン師範、フルコ・カルマン師範の厳しい視線が注がれた。最後は補強・柔軟で一次審査は終わったが、この時点で5名が脱落した。
審査を受けないセミナー参加者は、初日に引き続き四段がハワード・コリンズ師範に型の分解と実戦への応用、三段もミカエル・ソデルクヴィスト師範に同様のテクニック指導を受けた。弐段以下は塚本徳臣支部長、塚越孝行支部長、島本雄二に世界チャンピオンテクニックを学んだ。
午後は昇段審査会の組手審査が行なわれ、グレーゾーンの受審者も含めた最後の闘いが始まった。五段から参段の受審者から順番に、20人ずつが10人組手に挑んだ。世界大会女子準優勝のインガ・ミクスタイテ、第3位のイリーナ・ワリエワが大会直後にも関わらず、熱戦を見せた。日本男子では井上達二道場長、石原延支部長、吉田富和支部長、久野浄英支部長、佐野英雄道場長、日本女子では第10回世界チャンピオンの将口恵美が参加した。
それぞれの思いを胸に過酷な10人組手に臨む受審者の闘いは、次第に周囲を取り囲むセミナー参加者の声援を呼び込む。ボロボロになりながらも、各受審者が10人組手を完遂していく。温かい拍手に包まれながら、仲間と抱き合った。
最後は、世界大会で活躍したヴァレリー・ディミトロフ、ドナタス・イムブラス、イリヤ・ヤコブレフの3名が登場。一人ずつ10人組手を行なった。各選手ともさすがの強さを見せるが、後半になると動きが落ちていく。審査員、師範、セミナー参加者が一体となって声援を送る。自分自身との闘いに勝った3人が、ともに完遂した。
その日の夜に緑代表から合否が発表されて、ヴァレリー、ドナタス、イリヤの3人をはじめ、100名が昇段。さよならパーティーでは、互いの健闘を称え合った。