世界規模での新型コロナウイルス感染症の拡大によって、各地各国でさまざまな防止策が講じられ、私たちもそれらに臨機応変に対応しながら、活動を展開しております。この未知のウイルス感染症を患われて治療されている皆さまには心からのお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた尊い命にお悔やみを申し上げます。こうした命を守る医療の現場で一日一日、一瞬一瞬たたかってくださる方々には、その厳しさや苦しさに想いを寄せながら深く感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
比較的早期に感染拡大したアジア、日本では国家を挙げた対策がとられ、大規模な催事の中止や延期を行なってまいりました。東京オリンピックも「完全な形」で開催することを念頭に、来年への延期が決定しました。さまざまな関係者によって成り立つ世界規模の催事ですが、世界各地で異なる拡大のスピードやピーク、そしてスケールを考えればやはり、最も大切なのは選手の皆さんです。完全な準備、完全な心技体で競技できないのであれば、開催の時期を、その選手を軸として考えるのは素晴らしい判断であったように思えます。今、まさに競技に挑む態勢を整えておられた選手の皆さんには、ぜひ完全なる準備をして来年の東京にお越しいただきたいと思います。私たちフルコンタクト空手はオリンピックの競技種目ではありませんが、同じアスリートとして正式競技に参加する皆さんを心から応援いたします。
さて、本年5月30日、31日に予定しておりました私たちフルコンタクト空手の世界大会も延期となりました。新極真会が幹事を務めるWFKOが世界の大同団結の証として華々しく開催する本大会の延期はとても残念ですが、これもオリンピック同様に関係者の皆さまとの協議によってその決断を致しました。記念すべきこの大会の出場権を勝ち取った選手の皆さんには大変申し訳ない気持ちでいっぱいですが、やはりオリンピック同様に完全なる形、そして完全なる想いで開催できないのであればこれが最善の選択と納得し、次への道標に突き進んでいきたいと思います。これまで以上の準備をして、完全を超えた大会を作って世界中の皆さんをお迎えしたいと思います。選手の皆さんにおいては、何があっても自身の稽古は不断です。延期になった分、蓄積される想いを精一杯、来たる栄光の舞台で発揮していただきたいと思います。今なお、戦いは継続していますので、頑張ってください。
日々、メディアではコロナ問題が報じられています。未知なるウイルスとの戦いへの対応に瞬時の決断をされる各国政府や自治体の関係者の皆さまのご尽力に感謝すると同時に、私たちWKOは与えられる情報を正しく受け取り、適切な行動に努めなければなりません。私たちの活動に賛同して集ってくださる方々の健康と安全に最大の配慮をしたフルコンタクト空手を普及振興してまいりましょう。何も道場で行うことだけが稽古ではなく、日常の中に深い洞察を傾ければ万事が稽古。免疫力を高めるといったコンディションの調整も稽古です。私たち武道家には、心の持ち方が試されているのでしょう。今、自分に出来ること。感染しない、感染させない。感染する場に行かない、感染する場を作らない。手洗いやうがいといった基礎的な行動は早く習慣としていきましょう。大会などの中止や延期は使命感を持って臨みましょう。
何より、尊い命が大切です。世界中の新極真会の仲間の顔を思い出しながら、皆さんの安全や無事を祈っています。特に、高齢の師範や門弟の皆さま、どうかご無事でお過ごし下さい。未知なるウイルスとの世界規模の戦い。One For All, One For the Worldの精神で打ち克っていきましょう。
最後になりますが、2月にはグアムセミナーにご招待をいただき、クリス・バイオチノ支部長の指導のもと、元気な子供たちと稽古をご一緒しました。一人一人の笑顔と、流した汗が世界をつないでくれます。心からのおもてなしに感謝を申し上げます。ありがとうございました。
また、1月に開催されました意義深い第1回全ヨーロッパフルコンタクト空手道選手権大会を主催していただいたコーン・スピテールス師範が交通事故に遭われたとの報告も入りました。気丈に病室で拳をあげるお写真を拝見しましたが、その強い精神に敬意を表しますとともに、一日も早い快復を祈念しています。お大事にされてください。
新極真会はビッグファミリーです。残念ながら家族を離れる仲間もいます。それでも、大切な友人であることに変わりはありません。どうか、お元気でお過ごしいただき、自分が選んだ場所で精一杯頑張ってください。All For One, All For Our Priceless Friendship。皆さんとともに、この世界的困難を乗り越えて参りましょう。押忍
新極真会代表 緑健児