長引くコロナ禍によって、なにかと制限の多い日常生活を余儀なくされますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。東京は9月に入って、秋の長雨の天候が続いていますが、暑すぎず寒すぎず、過ごしやすい季節を迎えました。
9月5日をもちまして東京オリンピック・パラリンピック2020が閉幕いたしました。オリピックの開始と同時に新型コロナウイルス、その未知なる変異株の影響で感染者数が激増した東京でしたが、関係各位、ボランティアスタッフの皆さまのご尽力によって大過なく予定を終えられたことに心からの敬意を、そして感染拡大期を支えてくださる医療従事者の皆さまの忍耐に感謝の意を表します。コロナ共生時代で多様な価値観が交錯するなか、自分の使命を信じて競技に挑む選手の姿に心動かされました。この日、この瞬間を迎えるまでの努力、そして心の葛藤がどれほどの辛苦であったか。本大会に出場された選手の皆さま、本当にお疲れさまでした。また、感動をありがとうございました。
私たち新極真会もコロナ共生時代を前に前に進んでまいります。12月に伝統の第53回全日本選手権とドリームフェスティバル2021の開催を控えています。この2大大会を同時開催することは、初めての試みであり、何かと不測の事態も想定されます。しかし、コロナ禍にありながらコツコツと稽古を重ねてきた選手たちの頑張りやそれを支えるご家族の皆さまの情熱に報いるために、最大限の感染予防策を講じて開催を実現させたいと考えています。
選手の皆さんは思う存分闘って欲しいと願いますし、そのための準備をしっかりと行なっていってください。こうした日本での活動は、世界各地区の同志たちに勇気を与えていくことと思います。これも、空手母国である日本の使命と言えるでしょう。どこの大会の運営にも安全上の決まりがたくさん設けられます。特にコロナ禍における大会ですから、いつも以上にしっかりと決まりを守って、私たちの大切な大会をみんなの力で成功させましょう。
また、ルーマニアでは8月19日から22日にかけて、第3回EFKOフルコンタクト空手キャンプが開催され、多くの参加者とともに楽しく充実した内容で成功裡に終えられたとの報告を受けました。ヨーロッパ地区委員長のクーン・シャレンベルグ師範を中心に、その運営の陣頭指揮をとっていただいたコーン・スピテールス師範やルーマニア支部の皆さま、各団体から指導員として協力していただいた高弟の師範方のお力添えに心からの感謝を申し上げます。フルコンタクト空手界はゆるやかに大きなうねりを持って大同団結に向かっています。極真空手を源流とするフルコンタクト空手は、流派団体がちがっても稽古を通じて、直接打ち合い、蹴り合い、そして気持ちを交わしながら結ばれていくものです。流す汗や笑顔はその潤滑油。地道なキャンプの開催を通じて、ヨーロッパ地区が団結に向かっていることをうれしく思います。私たちのフルコンタクト空手の素晴らしさは、こうした流派や団体の垣根を越えた団結による競技の標準化をもって、より広く国際スポーツ界の注目を集めていきます。こちらも根気強く、頑張っていきましょう。
さて、8月のフルコ・カルマン師範(ハンガリー)とピヤラトネ・ムトゥクマラナ師範(スリランカ)の訃報には世界中の同志が心を痛めたことと思います。おふたりとも故大山倍達総裁の命を受けて各国での普及に尽力してこられました。多大なる貢献をしてくださいました。コロナ禍で海外との往来に制限があるために会えないなかの突然のお別れはとても寂しいし、悲しい。おふたりを思い出すとき、その厳しさ以上にやさしく微笑む眼差しが目に浮かびます。どうか、天国で大山総裁のもとに戻って、大好きな空手を思う存分楽しんでほしいと思います。カルマン師範、ムトゥクマラナ師範、ありがとうございました。
心から哀悼の意を表しますとともに、ご冥福をお祈りいたします。
世界に目を向けると、国際社会の諸問題がメディアを通じて飛び込んできます。最近ではアフガニスタン情勢の不安も深刻なようです。私たちの同志である、アフガニスタン国代表のアバシン・シンワリ支部長や門弟の皆さんの日常が脅かされていると聞きました。どうか、皆さまの安全が確保されますことを心から祈念いたします。
最後になりますが、今年も終盤を迎えます。時の過ぎるのはとにかく早く感じます。長引くコロナ禍ではどうしても心の趣が内向的になりがちです。私たちは武道家ですから、いかなるときも自分自身の稽古を続けて、確固たる自己を培う。健全な身体をもって、健全な精神を養っていきましょう。そして、自分自身がまわりを明るく照らす存在となってよい人の輪を作っていきましょう。
押忍
新極真会代表 緑健児