今年も残りわずかとなりました。日本では寒さが一段と厳しくなり、稽古前、道着に袖を通すのも冷たく感じてしまいます。街は、地球温暖化の影響で遅れてやってきた紅葉が赤や黄色で彩られ、聞こえてくるクリスマスソングも高揚感を一層高めてくれます。
皆さんはどのような今をお過ごしでしょうか。一年を振り返り、年の瀬の慌ただしさのなかでも、家族や友人たちと語らい、温かく、楽しく、静かな時間をお過ごしいただきたいと願います。
新極真会は今年も飛躍の一年となりました。夏にはドリームフェスティバル2024国際大会が史上最大の3,755名を記録し、同じ日にフルコンタクト空手界のプレミアステージとなる「第1回空手チャンピオン・オブ・チャンピオンズ」を超満員のファンの皆さまとともに作り上げ、新たな視点からフルコンタクト空手のスケール感や頂上感を共有いたしました。
また、第13回世界大会を終えた翌年、4年周期の活動軸の1年目として、世界各地区選手権大会では新たな時代をけん引する強豪新人の台頭が目覚ましく、未来に向かう歩みに心強さを感じました。
その一方、年初から日本の山田政彦師範やボリビアのミランダ・オヨス師範、ハンガリーのアルパド・カルマー師範といった高弟の師範方が次々にお亡くなりになられたことはとても悲しいニュースでしたが、各国各支部で故人の遺志を引き継いで力強く活動を継続されている姿に心から勇気をいただきました。
皆さんにとって2024年はどのような一年でしたでしょうか。
さて、私たちのフルコンタクト空手界では、先日WFKO(全世界フルコンタクト空手道連盟)より来年5月31日、6月1日に東京・有明で開催される「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会」の案内が一斉に配信されました。本大会は、私たち新極真会の「第8回全世界ウエイト制空手道選手権大会」を兼ねるものですから、WFKOの幹事団体としての責務と同様に私たちの主体性もバランスよく併せ持って準備にかかっていきましょう。
本大会地区予選も世界各地で順調に進んでいます。日本を皮切りにヨーロッパ、南太平洋、アジア、中央アジア、南米、中米、中東で予選会を終え、残すは北米とアフリカの2地区となっています。最終のアフリカが1月下旬とのことですので、いよいよフルコンタクト空手の世界的祭典の舞台に上がる選手の顔ぶれがそろいます。残念ながらロシアの空手家の皆さんにはもう少し辛抱をお願いせざるを得ない状況が続きます。
11月にはアジア選抜とヨーロッパ選抜を視察してまいりました。アジアはタイ支部長の永島文秋師範が、ヨーロッパはベルギー支部長のコーン・スピテールス師範が主催者として素晴らしい大会を作りあげてくださいました。滞在中は両師範を中心とする関係各位に大変お世話になりました。心より感謝を申し上げます。
この他、南米地区や中米地区にも日本から視察団が訪問し、各地区の皆さんの素晴らしいがんばりを拝見したとの報告を受けています。
各地区で選抜戦の開催にご尽力いただきました関係各位に心から感謝と敬意を表します。
「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会」は様々な流派団体が一堂に会する統一競技会です。その主催者となるWFKOは競技団体であり国際連盟となります。出場選手は自身が所属する実技団体で習得した力や技を、その競技会で思う存分発揮してほしいと思います。
本大会の準備を進めるうえで、新極真会の支部長や道場長、選手などの皆さんは不思議な感覚を抱かれていることと想像します。多くの流派や団体が織りなす多様性がフルコンタクト空手の大きな文化的な特徴であり、それぞれの独自性がその多様性に彩りを添えます。その一方で、本大会では流派や団体の垣根を超えた各国連盟の立ち上がりもゆるやかに身近なこととして意識し始めることでしょう。この、各流派団体の意識と流派団体を超えた国や地域の意識の交錯、そのシンクロナイズが新鮮な感覚として芽生えてくることと想像します。今後、本大会の準備を進めるうえで、この新鮮な感覚も調律させながら、新しいフルコンタクト空手界の大同団結というムーブメントを和合させてまいりましょう。
私たちは、こうした時代のニーズを大切にして、「オール新極真会」として本大会の成功に向けて奉仕の精神をもって団結してまいりましょう。そして、選手の皆さんにおいては、本大会で必ずや私たち新極真会が上位を独占できるように世界レベルで互いの存在を意識しながら連帯を組み、修練を競い、重ねてまいりましょう。
最後になりますが、甚大な自然災害や長期化する国際紛争、インターネットに象徴される高度情報化社会の便利さの裏側に潜む凶悪犯罪が頻発しています。これらによって、私たち国際社会は安定を欠き、人間社会は心の弱さや脆さが露呈される困難にぶつかります。
私たち新極真会は強くなればなるほど優しくなれる武道空手の世界的振興を通じて、確固たる自己を形成し、世界の平和に貢献してまいりましょう。
解決の困難とされる国際紛争が一日も早く集結し、世界中が笑顔であふれるように心から祈念いたします。
年の瀬に際して、メリークリスマス、そして良いお年をお迎えください。
新極真会代表
緑健児