いつも新極真会の理念と活動に深いご理解とご協力をいただき、心より御礼申し上げます。皆さまの真摯な取り組みと、地域社会でのご尽力が、今日の新極真会の発展を支えてくださっていることを、あらためて感謝申し上げます。
ここ日本では、秋も深まりを見せ、都内の木々も色づき始めました。本部のある東京にも、柔らかな陽光と澄んだ空気が満ち、季節の移ろいが心を和ませてくれます。そんな穏やかな風景の中で、皆さまとつながるこのニュースレターをお届けできることをうれしく感じています。
さて、2023年に開催された第13回世界大会および世界総会から、早くも2年が経過いたしました。私自身、任期4年のちょうど折り返し地点に立ち、これまでの歩みを振り返る時期にあります。この2年間、私たちは幾つかの大きな挑戦と成果を重ねてきました。 まず、2024年に開催された「第1回 空手チャンピオン・オブ・チャンピオンズ(KCC)」は、新たな頂上決戦としての価値を示し、フルコンタクト空手のプレミアム感を世界に印象づけることができました。そして本年5月、東京で開催された「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会」において、WFKO主幹事団体の一つとして責任の一端を担い、フルコンタクト空手界のスケールを実感いたしました。
さらに、困難が続いていた南米地区には、One for All, All for Oneの精神で本部が協調的に介入し、少しずつ信頼と秩序の回復に向けた手応えを得ています。 こうした取り組みの中で、私が何よりも大切にしてきたのは「急がずあわてず、対話を重ね、足並みをそろえて進むこと」です。新極真会は一人ひとりの思いを結び、ともに築き上げる組織です。後半の2年間も、引き続き皆さまの声に耳を傾け、心と力を合わせて、より良い未来を目指していきたいと考えております。
直近の活動としては、8月にハンガリーのサマーキャンプにお招きいただき、日本からも複数の世界チャンピオンとともに現地を訪問しました。同国では、フルコ・カルマン師範のご逝去に伴う変化の中、ジュガ・ヤーノシュ国代表と長谷部俊昭会長のリーダーシップのもとで新たな組織体制が整い、地域全体の団結力が高まっていることを肌で感じました。 キャンプ中には、近隣国の支部長や選手たちとの交流も活発に行われ、ヨーロッパの選手たちの高いレベルに、改めて感銘を受けました。日本のチャンピオンたちも積極的に組手に参加し、国境を越えた切磋琢磨の場となりました。また、世界大会で感動を呼んだイエバ選手との再会も叶い、彼女が語ってくれた「新極真会が自分の居場所である」という言葉、そしてそれを涙ながらに通訳してくれたブリジタ選手の友情に、胸が熱くなりました。リトアニア支部の師範方のご支援に、心から感謝申し上げます。現地滞在中のハンガリー支部の皆さまの心温まるおもてなしに心から御礼申し上げます。
10月18日・19日には、東京で「第57回全日本空手道選手権大会」がオープントーナメントとして開催され、外国籍選手にも門戸を開放しました。新極真会の活動が世界大会を軸に回っている今、次代を担う選手たちの台頭が著しく、本大会でもその勢いが明確に表れました。第1回WFKO世界大会軽重量級王者・渡辺和志選手が日本代表として決勝に進出し、カザフスタンの新鋭・アンジェイ・キンザースキー選手と激しい戦いを展開しました。結果は、アンジェイ選手が一本勝ちを収め、見事な戴冠を果たしました。 アンジェイ選手は、この全日本選手権を含めた3週連続の国際大会すべてで優勝するという快挙を成し遂げています。全日本選手権については、約半世紀の歴史のなかで、初の外国人選手による優勝という大きな節目を迎えたことに、心からの敬意を表します。同時に、日本選手のさらなる飛躍と、2年後の第14回世界大会に向けた強化への意欲を新たにしています。
また、今回はロシアおよびベラルーシ国籍の選手・支部長の皆さんにも、AIN(中立個人)としての条件を受け入れたうえで、出場・対話の機会を持ちました。戦争への明確な反対姿勢は今後も変わらず貫いてまいりますが、個々の空手家としての声に耳を傾けることの大切さも、あらためて強く感じました。一方で、ウクライナでは今なお厳しい状況が続き、被害を受ける支部長や選手の皆さんの胸中を思うとき、平和への道を丁寧に、拙速を避けて進む必要を痛感いたします。
このような国際情勢のなかにあってこそ、私たちが心に留めることは「押して忍ぶ」押忍の精神です。困難な時代だからこそ、対話を怠らず、互いの立場や心の移ろいを尊重しながら、皆で道をひらいてまいりましょう。
そして9月27日には、ハンガリーにてヨーロッパ大会が開催され、男子ではリトアニアのジマンタス選手が重量級を制した他、ジョージアの選手たちがその他の階級を制しました。女子ではリトアニアのブリジタ選手が王者としての貫禄を示して重量級を制し、その他の階級は欧州強豪国の選手が制したとの報告が届いています。欧州各国での選手育成の気運がますます高まりを見せ、地域間の健全な競争が技と心を磨いています。選手強化の過程で育まれる友情、そして空手による豊かな人間形成を、今後も新極真会の価値として世界に伝えていきたいと願っています。
最後になりますが、混迷する世界情勢のなかで、空手を通じた心の教育こそが、世界平和への一筋の道標になると私は信じています。どうか皆さま、これからも変わらぬご指導とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。ともに力を合わせ、明るい未来を築いてまいりましょう。
押忍
新極真会代表
緑 健児