12月6日~8日、15回目となるユース・ジャパン強化合宿が山梨県の富士緑の休暇村で行なわれ、全国の支部・道場から400名以上の金の卵が集結。男子は後迫龍輝が主将、渡辺和志が副主将に任命され、女子は石原凜々が主将を、目代結菜が副主将を務めた。コーチ陣には、約1ヵ月前に開催された第12回全世界空手道選手権大会で男女ダブル優勝を成し遂げた島本雄二、南原朱里をはじめ、島本一二三、前田勝汰、江口雄智、入来建武、将口恵美、加藤小也香など世界のトップで活躍を続けてきたユース卒業生も顔を揃え、未来の日の丸戦士へテクニックや心構えが継承された。
【初日】
14時から始まった結団式では「第12回世界大会で新極真会の日本選手団は初めて全員がユース出身選手だけになり、その中で島本雄二選手、南原朱里選手が男女ダブル優勝を達成しました。第13回世界大会の日本代表は今日、ここに集まった中から出てくると思います。そういう合宿です。自覚と責任を持って、3日間悔いの残らない稽古をしてください」と、選手強化副委員長の奥村幸一師範があいさつを行なった。続けて藤原康晴コーチから男子主将の後迫にユース認定証とワッペンが授与され、続けて第5回JFKO全日本大会中量級優勝の実績が評価され、後迫にユース特別賞が贈られた。
午後稽古は3グループに分かれてスタートした。中学生以上の男女が集結した鳴沢村体育館では島本雄二コーチがチャンピオンセミナーを行ない、すり足で相手の横に回り込む足運びや、そこからの攻撃のコンビネーションなどを伝授。続けて男女階級別の組手を行ない、その中からU-19、U-15が選抜された。
男子のU-19とU-15は武道場へ移動し、選手強化委員の塚本徳臣支部長、石原延支部長、島本雄二コーチの檄が飛ぶ中、組手で汗を流した。鳴沢村体育館でも、将口コーチが指揮を執った女子のU-19、U-15を含む各グループが組手を行なった。
小学生が稽古を行なった休暇村体育館では、第12回世界大会で7位入賞をはたした江口雄智コーチがセミナーを開催。相手の下段廻し蹴りに対して、1歩で動くことを意識した回り込みから下突きや上段前蹴りにつなぐテクニックを披露し、参加者は学んだ技術を活かして組手稽古を行なった。セミナールームでは藤原コーチが型の技術を伝授し、渡辺大士コーチがそれをサポートした。
稽古の最後は、各グループともに補強を行なった。腹筋100回、背筋100回を10セットずつ、肩幅に足を開きそのまま腰を落として1分間、拳立て1分間など、例年のサーキットトレーニングとは異なるメニューで自らを追い込んだ。
夕食の後に行なわれたナイトミーティングでは、第12回世界大会の男女決勝戦を放映。島本雄二が登壇し、「必ず優勝するんだ、必ず連覇するんだという思いで世界大会を闘いました。その思いの強さは、他の選手に負けていなかったと思います。2年後の第7回世界ウエイト制、4年後の第13回世界大会の日本代表は君たちの中から出てきます。この合宿でトップクラスの技術を吸収して、2年後や4年後を目指してください」と、ユース選手へエールを送った。
【二日目】
体育館で行なわれた早朝稽古は、U-19、U-15のメンバーと参加を希望する中学生以上のみが集まった。ジョギングや2人1組での柔軟でウォーミングアップを行なった後は、男女が6~7名のチームをつくり、リレー形式でダッシュやジャンピングスクワット、ケンケン、タランチュラなどのスピードをリレー形式で競争した。
9時30分に始まった午前稽古はサッカーコートで行なわれ、グラウンドを2周する中距離走と100mダッシュを行ない、学年別に順位やタイムを競い合った。
午後からは緑健児代表が合流し、全体で記念撮影を行なった。武道場で男子のU-19、U-15の稽古を見守った緑代表は、「来年のJFKO全日本大会では他流派の選手に負けないという気持ちを持って、後迫キャプテンのようにチャンピオンになってください」とエールを送った。組手稽古1分10ラウンドの後は、島本雄二コーチのセミナーが行なわれた。テーマは遠い間合いから出す前蹴り。軸足のバランスを意識することや、インパクトの瞬間に足を引く、前蹴りを出すことを悟られないためのフォームなど、さまざまなポイントを語り、その後は内股蹴りからの前蹴りなどコンビネーションを披露した。
ふたたび階級別で組手を行なった後は、選手強化委員の新保智支部長がセミナーを行なった。足の指を握って蹴る下段蹴りや、つま先を上げて硬くなったスネを当てる下段蹴りなど、下段蹴りのさまざまな技術を伝授した。その後は1分8ラウンドの組手を2セット行ない、参加者は教わったばかりの技術を実践した。
U-19の男女とU-15の男子以外が集まった休暇村体育館では、南原コーチ、前田勝汰コーチ、入来建武コーチ、島本一二三コーチ、加藤小也香コーチによる豪華セミナーリレーが実現。南原コーチは突きのフォーム、前田コーチは踏み込んでの突き、入来コーチは下段蹴りのフェイント、島本一二三コーチは相手の突き連打に対する対処法、加藤コーチは近い間合いでの中段廻し蹴りと、それぞれが得意のテクニックを披露。その後は学年別に分かれ、組手稽古で汗を流した。
セミナールームでは、将口コーチが女子U-19にさまざまな実戦向けの技術を伝授。その後は休暇村体育館に合流し、武道場から駆けつけた緑代表が見守る中で組手稽古を行なった。最後は型グループも合流し、前日同様、腹筋や背筋などの補強で稽古が終了した。
19時から始まった緑代表の講話では、「世界大会へ向けて合宿を重ね、チームジャパン一丸となって男女ダブル優勝を達成できました。4年後は自分が出るんだという思いで稽古をがんばれば、みんなも必ず出ることができます。ユースの中でライバル意識を持って切磋琢磨してください」と激励し、続けて紹介を受けた南原は「私はユース合宿に6回参加させていただきました。この合宿の経験がこれからの糧になると思うので、自分に自信を持ってがんばってください」とエールを送った。最後は南原を含めた第1回WFKO世界大会日本代表の入来、江口、前田、加藤、後迫、石原凜々が紹介され、大会へ向けての決意を語った。
夕食時には後迫と石原の男女主将が司会を務め、タイムレースの表彰が行なわれた。続けて今年9月にマレーシアで開催された第1回アジアフルコンタクト大会の入賞者が紹介され、最後は今合宿でユース卒業となるメンバーが合宿の思い出や今後の意気込みを語った。
【最終日】
早朝稽古は、前日同様にU-19とU-15のみが参加。ジョギング、柔軟に続いてチーム別のリレーが行なわれた。
今合宿を締めくくる午前稽古では、休暇村体育館にすべての組手グループが集結し、組手を行なった。型のグループが合流して行なわれた発表会では、撃塞小、観空、五十四歩が披露され、拍手が沸き起こった。
解散式では藤原コーチ、塚本コーチが激励の言葉を送り、選手を代表して男女主将が挨拶を行なった。「この合宿の経験を持ち帰り、来年のJFKO全日本大会、WFKO世界大会はユースのメンバーがチャンピオンになれるようにがんばります」(後迫)、「合宿で学んだことを活かして5月に恩返しできるようにがんばります」(石原)とそれぞれが決意を述べ、最後に奥村師範が「厳しいことを言うようですが、大会は結果がすべてです。上のステージへ行きたければ、来年5月の大会で他流派に負けず活躍してください。楽しみにしています」と締めくくった。来年3月に第1回WFKO世界大会、第6回JFKO全日本大会へ向けた合宿が同地で行なわれることが、すでに決定している。ユースメンバーの中から何名が選抜されるのか、今から来年が楽しみだ。