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世界大会は最も清く、純粋でなければならない

2011.09.02
代表メッセージ

いよいよ世界大会が目前に迫って参りました。

 その開催地、東京は電力供給不足が心配された酷暑を乗り越え、少しずつ秋に向かおうとしています。頻発していた余震も減りつつありますが、まだまだ警戒の手を緩めているわけではありません。ただ、日本が一丸となって震災復興の名の下に心をひとつにし、その震災でなくした尊い命を胸に抱いて前に進んでいることは世界に誇れる日本の強さだと思います。どうか長期戦となっている復興、そこで戦う日本に引き続き世界中からの力を与えて下さい。

 さて、その世界大会は着々と皆さんをお迎えする準備を整えています。財政面では多くのスポンサーからのご好意をいただき、何とか開催の目処がたちました。こうして皆さまから寄せられたご厚情に恥じることなく、感動と感激、そしてそこに関わる全ての人々に力を与える大会にして参りましょう。いつも申し上げることですが、大会の主役は選手です。その選手の背中、また繰り出すひとつひとつの突き蹴りにそれぞれの選手が懸ける魂が宿ります。観るものすべてが力や技を超越したこの魂に酔いしれ、空手世界一を決める道程、そして世界最強の空手家が誕生する瞬間に魂を揺すぶられます。選手のみなさんは、大会までの残された時間を精一杯稽古して、悔いなく戦いに挑んでください。

 私たちWKOは皆さんご承知のようにアンチドーピングを掲げ、世界的な権威であるWADAコードに準じた活動をしています。選手たちのフェアプレーもさることながら、選手たちの体を守ることが大切です。そして大山総裁が生涯強く拘られたアマチュア精神、その神髄を再確認しなければなりません。人間としての純粋さを持って競技に挑むことが求められるわけです。さきの09年のワールドカップで行われたドーピング検査において、マリウス・イラス選手の検体から禁止物質が検出され、その調査や処分を巡って多くの時間と労力を費やしています。しなしながらこの物質が体内から生成されたかどうか、すなわち物質の内因性の検証が争点となり、この案件はスポーツ仲裁裁判所で取り扱われるまでに発展しました。

 マリウス選手も私たちの大切な仲間、そして私たちが採用するWADAコードもルールにそった遵守すべき最優先規約。その仲間の主張と、規約にそった検出物質への対処が争われて、その物質の根源が再度調査されています。

 ただ、世界最高権威の世界選手権は最も清く、純粋なものであらねばなりません。関係各位の尽力でこの世界大会までに真実の究明がなされることを強く期待しています。私たちも苦しいけれど、マリウス選手も苦しい。WADAコードを採用した第一号案件がこのように複雑で難解なものであることを誰が予想したでしょうか。

 どんな喜びも悲しみも、そしてどんな苦しみもみんなで分け合うのが仲間です。それが私たちのWKOなのです。ですから、今回の問題も必ずみんなで乗り越えて行きましょう。この件はドーピング委員会を中心に詳細な経過報告をお待ちください。

 さあ、世界大会。皆さんの期待に応える、いやそれ以上の最高の大会を用意して皆さんのお越しをお待ちしています。

押忍
新極真会代表 緑健児


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