10月14日~15日の2日間にわたり、フルコンタクト空手の最高峰の大会である第13回全世界空手道選手権大会が東京体育館で開催されている。
今大会からは型部門を新設。ここでは組手・型ともに男女ダブル優勝を掲げる日本選手団の試合を中心に、型部門、組手男子一回戦~三回戦、組手女子一回戦~三回戦の模様をお届けする。
【型部門・男子】
撃塞小が指定型となった一回戦は、志村朱々璃、佐野英雄、竹島雅之、鈴木来飛、山野翔平の日本人全員が勝利を挙げ、二回戦に進出。征遠鎮が指定型となった二回戦は、ドリームフェスティバル2023一般男子優勝の田中健太、同準優勝の中内功大、全ヨーロッパ大会2023男子個人型優勝のニコライ・ラン・イェンセン(デンマーク)、同準優勝のマタス・サスナウスカス(リトアニア)が順当に勝利。その他の日本人では竹島雅之、渡邊大士が準々決勝に進出した。
十八が指定型となった準々決勝は、四隅のシードである田中、中内、イェンセンが勝利を収める中、サスナウスカスは渡邊に敗北。ベスト4には日本人が3名残った。観空が指定型となった準決勝第1試合は、イェンセンが中内を3-2で下し、ファイナルへ進出。田中と渡邊が激突した準決勝第2試合は、渡邊が田中を3-2で撃破してドリームのリベンジをはたし、決勝へ駒を進めた。
五十四歩が指定型となった決勝戦は、渡邊がイェンセンを4-1で下し、頂点に立った。この結果によって日本の男女ダブル優勝が確定した。渡邊はチャンピオンインタビューで「こんな素晴らしい舞台で型を開催してくれた新極真会に感謝しています。34年間自分に空手を教えてくれた緑師範に感謝しています」と語った。
【型部門・女子】
男子同様、一回戦は日本人全員(入来智羅咲、谷口亜翠佳、将口恵美、細谷希花、砂川久美子)が勝利を挙げた。二回戦はドリームフェスティバル2023一般女子優勝の田中利奈、同準優勝の山中咲和、全ヨーロッパ大会2023女子個人型優勝のカルラ・ガラーティ(スイス)が順当に勝利を収める中、同準優勝のラミンタ・マカカイテ(リトアニア)は将口に敗れ、初戦となった二回戦で姿を消した。その他、日本人では髙嶋紗莉、細谷希花が準々決勝進出をはたした。
準々決勝では髙嶋がガラーティを4-1で下し、山中はダイアナ・マシウテ(リトアニア)に5-0で勝利。将口は細谷を3-2で撃破し、田中がアン・ポリメノ(スイス)を4-1で退けた。この結果、ベスト4は日本人が独占した。準決勝第1試合は山中が髙嶋を5-0で下して決勝進出。準決勝第2試合は田中が将口を4-1で撃破し、決勝は7月のドリームフェスティバルの決勝戦と同じ顔合わせとなった。
決勝は両者甲乙つけがたい型を披露する中、田中が山中を3-2で撃破して初代女王に輝いた。田中は「まだ実感が湧いていないですが、小さい頃から世界チャンピオンが夢だったので本当にうれしい」と涙を見せた。
【男子Aブロック】
午後からは組手部門がスタートした。ゼッケン1を背負った第7回世界ウエイト制大会重量級王者のエヴェンタス・グザウスカス(リトアニア)は、二回戦でポーランドのカミル・ブロブルフスキと対戦。グザウスカスが中段突きで技有りを奪い、危なげなく勝ち上がった。続く三回戦は対戦相手にドクターストップがかかり、不戦勝で2日目に駒を進めた。
対抗に入ったヴァレリー・ディミトロフ(ブルガリア)は、初戦、三回戦を危なげなく勝ち上がり、四回戦へ進出した。その他、日本人では岡田侑己、後藤優太、加藤大喜、鳥原隆司が2日目へ駒を進めた。
【男子Bブロック】
四隅シードの渡辺優作は初戦となった二回戦を本戦5-0で突破すると、続く三回戦ではリトアニアのジャスティナス・クヴィトカと対戦。この試合も終始ペースを握り続け、本戦4-0で快勝を収めた。
対抗に入ったマレック・ヴォルニー(ポーランド)も、初戦、三回戦をともに本戦5-0勝利と渡辺同様に安定した内容で2日目に進出した。その他、日本人では澤井天心、亀山真、平木楓が四回戦に勝ち上がった。
【男子Cブロック】
Cブロックは大波乱が起こった。第12回世界大会準優勝のマシエ・マズール(ポーランド)は初戦を勝ち上がったものの、続く三回戦で姿を消すまさかの展開に。殊勲の大金星を挙げたのは、初出場の17歳・遠田竜司。遠田は下段蹴りでペースをつかむと、終盤には突きでマズールをコート際まで詰める場面も見られ、本戦3-0で勝利。判定の瞬間は会場が割れんばかりの歓声に包まれた。
マズールとは対照的に、対抗に入った多田成慶は初戦から調子のよさを見せ、続く三回戦も一本勝ちを収めて2日目に進出。その他、日本人では後迫龍輝、前田勝汰、𠮷澤穂高が四回戦に駒を進めた。
【男子Dブロック】
最終ゼッケンを背負った日本のエース・入来建武は初戦となった二回戦を不戦勝で勝ち上がると、三回戦はパラグアイのヘクトル・マチアス・ヴィラルバと対戦。得意の下段蹴りは温存し、ほぼ突きだけで闘った入来は場外へヴィラルバを押し出す場面も見られ、本戦5-0で完勝を収めた。
対抗に入ったパウリウス・ジマンタス(リトアニア)も、トーマス・リッター(ドイツ)との初戦を合わせ一本勝ち、アリ・ナサロベイディ(イラン)との三回戦を本戦5-0で勝利と危なげない内容で勝ち上がった。その他、日本人では落合光星、江口雄智、金岡陽大、渡辺和志が2日目の決勝日へ進出した。
【女子A&Bブロック】
女子はゼッケン1を背負った第7回世界ウエイト制大会重量級女王のブリジタ・グスタイタイテ(リトアニア)に注目が集まった。初戦となった二回戦はウクライナのアナスタシア・ネステレンコを本戦3-0で撃破すると、続く三回戦では二回戦で浅古麗美を下したカタリナ・ジャスコウスカ(ポーランド)を延長3-0で退け、準々決勝に進出した。
Bブロックのシードに入った久保田千尋は、三回戦で漢藍理と激突。本戦は漢に2本、延長は漢に1本の旗が上がり迎えた最終延長。ほぼ互角の打ち合いを演じたが、久保田が押しの注意1を取られ漢が判定5-0で勝利。優勝候補の一角である久保田がここで姿を消した。
第7回JFKO全日本大会重量級王者の野邑心菜は、三回戦で網川来夢との日本人対決に最終延長2-3で敗れ、初日で姿を消した。その他、日本人では藤原桃萌も2日目に進出した。
【女子C&Dブロック】
最終ゼッケンを背負った鈴木未紘は、アロナ・フェレスニアク(ウクライナ)との初戦を本戦5-0で突破すると、三回戦ではこの大会での現役引退を表明している加藤小也香と初めて向かい合った。ステップを使って翻弄する加藤を詰めた鈴木は、突きと下段蹴りを中心に攻撃を繰り出し延長5-0で勝利。先輩からの魂のバトンを受け取り、悲願の世界チャンピオンへ向けて好発進を決めた。
Cブロックのシードに入ったイヴァンカ・ポポヴァ(ブルガリア)は、清水由埜との初戦を延長5-0で勝利したものの、続く三回戦では水谷恋に延長0-3で敗れ、初日で敗退を喫した。その他、日本人では目代結菜、冨村日花も2日目に駒を進めた。