私と新極真空手との出会いは、今振り返ると、実家のすぐ側の駐車場に貼ってあった、たった一枚のポスターでした。
何度もその前を通ってはいましたが、よくある街のなにげない景色の一つだったと思います。
ところが家業が落ち着き、ふと何かに打ち込みたいと思った時、そのポスターが目に留まり、興味半分、怖さ半分で、連絡先の道場にお電話させて頂いたことがきっかけです。
道場を実際に見学させて頂き、緑師範を始め多くの先生、先輩たちの力強くて鮮やかな技を拝見させて頂き、映画の中のスターをみるような憧れ気持ちのみで入門したことを覚えております。
その後、地元の戸畑にも道場が開かれることになり、山下先生がご指導されるとお聞きし所属を変更させていただいてから、本格的に空手の厳しさを教えて頂きました。
諸事情で家業を離れざるを得なくなり、東京への転職とともに、空手からも遠ざかるをえない形になりました。
見知らぬ土地での慣れない業務に、心身共にすっかり疲れ果てておりましたところ、何かにすがるような気持ちで、故郷の先生にご紹介頂いた塚本師範の道場を見学させて頂いたのが再起のきっかけです。
師範を始め多くの有名な選手が在籍されており、あまりのレベルの高さに躊躇もいたしましたが、幸い日曜日に壮年の世代も多く在籍しているクラスがあるとお聞きし、心機一転一から稽古を再開させて頂くことができました。
しかし若い頃のような体力はすでになく、何より途中で空手を放棄した自分に対して、真面目に続けてこられた先輩方と向き合った時に感じる弱気にいつも縮む思いをするばかりでした。
そんな自分がここまで続けてこられたのは、師範を始め、同じ壮年部でも仕事の合間時間を作って稽古を続けてこられた、私よりもずっと激務をされている目上の先輩方、親子で一緒に強くなろうとしている道場の皆様、社会的な立場、老若男女を問わない多くの方々が集まるこの道場で一緒に稽古をするにつれ、もう一度若いときに出会った憧れの気持ちに向き合うことができました。
今回実際に審査を受けさせて頂くことになり、十人組手を想定して多くの先輩、道場生の方々に組手のご指導を頂きましたが、その稽古の中で若いときの何も考えずにただ強くなりたいというだけの気持ちから、今の弱気の原因と向き合うことで、少しずつ心身を回復することができたかと思います。
十人組手で最後まで立てていたのは本当に皆様のお陰です。
この度は昇段審査の機会を頂き、誠にありがとうございました。
塚本師範、故郷の山下先生を始めとする多くの先生、先輩、道場のご関係者様に感謝申し上げます。
今後は稽古を通じて周りの人へ良い刺激になることが私の次なる目標だと思いますので、お世話になった先輩方と同じように精進を続けて参ります。
世田谷・杉並支部
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