この度は、昇段審査の機会を与えていただき、また昇段のお許しをいただきありがとうございます。
私が空手を始めたきっかけは、幼い頃母に連れられて中川道場の稽古を見学しに行ったことでした。
心と身体を鍛えて強い人になってほしいという母の願いから空手を始め、試合での優勝や昇級を目指して稽古に通うようになりました。
しかし、思いとは裏腹に稽古の成果は出ず、試合に出ても一回戦負けや二回戦負けで、母や先輩方、稽古をしてくださっていた清水先生の期待に応えることができませんでした。
それでも身体は強くなっていなくても心は鍛えられていると信じて稽古に励み、気づけば一級になっていました。
そして、一級になって1年が過ぎたころから、いろいろな人から「初段にいつなるのか」と聞かれることが多くなってきました。
しかし、聞かれる度に私は「自分には黒帯を締める資格がまだない」「仕事が忙しく時間がない」と体の良い言い訳をして逃げ、気づけば5年近く経過していました。
そんなある日清水先生から何度目かの「初段にいつなるのか」の問いをされ、いつも通り体の良い言い訳をして逃げようとした時、空手を始めた当初の目標と今の自分がかけ離れていることに気付きました。
言い訳をして審査や試合を避けている自分の心は全く鍛えられていないと感じ、そんな自分と決別するために1月に審査を受審したいと答えました。
受審を決意してからの稽古は今までより厳しく、自分の未熟さに嫌気がさすほどでした。
仕事終わりにも稽古に通い、仕事の合間にも時間があれば自主練習を行って、初段になるために尽力した日々でした。
そして審査当日は心地の良い緊張感で迎えることができました。
基本、移動、型、拳立て、一本組手とどれも稽古よりも厳しく、十人組手までいけるのか不安でしたが、応援や同じ受審者の方からの励ましのおかげで何とかたどり着くことができました。
迎えた十人組手は稽古での組手とは比べ物にならないほど厳しく、一人目で体力が切れ何度も心が折れそうになりました。
しかし心が折れかける度に組手の手伝いの方々や応援の方々、受審者の方々からの声援のおかげで、悔いが残るような内容でしたが最後まで立ち続け戦い続けることができました。
審査の結果は合格となり喜びの半面黒帯の重さを考えると、自分にふさわしいのかとプレッシャーを感じています。
黒帯を巻くことだけで満足せず、空手を始めた当初の目標である、心と身体の強い人になれるよう日々精進していきます。
最後になりましたが、稽古をつけてくださった山本師範、清水先生、一緒に稽古をしてくださった中川道場や港道場の方々、当日応援をしてくださった方々、十人組手の相手をしてくださった方々、一本組手の相手をしてくれた長谷川卓海君、今まで空手で関わってきたすべての方々のおかげで今の私があり合格できたと感じています。
ありがとうございました。押忍
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