誰が彼女を止められるのか。7月のKCCでは危なげない内容で強豪海外勢を撃破し、ふたつ目の世界タイトルを獲得。“無双状態”に入った怪物女王だが、貪欲に強さを求める姿勢は変わらない。ライバルたちを突き放し、大会連覇を狙う。
【第56回全日本空手道選手権大会】大会ページ
ライブ配信チケット
‒7月のKCCでは、初代女王の座に就きました。
鈴木 日本が王座を獲れてホッとしています。今回はとくに第1回大会だったので、海外に獲られることは絶対にあり得ない、何が何でも負けてはいけないと思っていました。
‒駆けつけた応援団からは試合中に「未紘」コールも起こりましたが、あの舞台は闘いやすかったですか。
鈴木 準決勝と決勝はしっかり応援が聞こえて力になったんですけど、初戦はなぜか応援の声が聞こえず、逆に相手のアリーナ・オシペンコ選手の応援だけが聞こえて、少し焦りました。初戦が終わってから母に『 応援の声が聞こえなかった』と言ったら、『いや、あったよ』と。たぶん初戦ということもあって、緊張で硬くなっていたんだと思います。その中でもセコンドの声は聞こえたので大丈夫でした。
‒オシペンコ選手は国際大会初出場ということもあり、動画はおろか情報がほとんどない状態でした。
鈴木 どう動いてくるかがわからなかったので、まずはリズムをつくろうと思っていました。強くなくてもいいからとりあえず攻撃を当てて、何が入るかがある程度わかった上で、そこを攻めようと。闘いの中でパターンをつくっていく感じでした。その一方で、上段を蹴られた時に一瞬上体が浮いてしまったりしたので、課題も残った試合でした。
‒藤原桃萌選手との準決勝は、5月のJFKO全日本大会の再戦となりました。
鈴木 本当に気持ちが強くて、絶対に最後まであきらめないというのはJFKOの時以上に伝わってきました。
‒今回は最終延長までもつれましたが、想定内だったのでしょうか。
鈴木 はい。全試合、最終延長に入っても闘える状態だったので、引き分けになっても大丈夫だと思っていました。最後まで崩れずに、しっかり地面に足をつけて動けたことが一番の勝因だったかなと思います。
‒決勝はリトアニアのブリジタ・グスタイタイテ選手が相手でした。
鈴木 グスタイタイテ選手対策を徹底的にやってきたので、やっと対戦できるという楽しみな気持ちが大きかったです。道場にあそこまで大きい人はいないんですけど、自分がヒザ立ちになって組手をするとか、やり方次第では対策ができるので。相手のヒザ蹴り対策もたくさんやりました
‒世界タイトルをふたつ獲った後の今回は、どんなテーマで臨みますか。
鈴木 『自分への挑戦 』が一番大きいですね。試合をすれば必ず課題が見えてくるので、そういったところを修正しないといけないですから。KCCのオシペンコ選手との試合では一瞬冷静さを失いかけたので、今回は冷静に自分のやるべきことをコツコツやっていこうという
テーマがあります。現状維持には絶対したくないので、今までで一番強い鈴木未紘を更新したいと思います。
まだまだ、もっともっと強くなりたいです。
‒トーナメント表の印象はいかがですか。
鈴木 今年だけで2回闘っている藤原桃萌先輩が同じブロックに入ったので、気になります。ただ、先を見過ぎてもよくないので、一つひとつ丁寧に闘っていきたいです
‒大会全体としては、誰が鈴木選手を止めるのかがテーマになります。
鈴木 燃えてきますね。これだけ動画があふれている中で研究されるのは当たり前だと思いますし、歴代の先輩方はマークされる中でもそれを超えて勝っているので、自分もそこを目指したいです。何があっても負けない自分をつくっていきたいと思います
‒2022年の第54回全日本大会を制して以降は、連勝記録が続いています。
鈴木 ボクシングの井上尚弥選手とか柔道の阿部一二三選手とか、他のジャンルでは『何年間無敗』とか聞くじゃないですか。私もそうなれるようにがんばりたいと思います。