2月25日~27日、第7回全世界ウエイト制大会日本代表強化合宿および、第16期ユース・ジャパン強化合宿が、アンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドーム本社の有明ヘッドクォーターで開催された。コロナ禍の影響で2019年を最後に休止していた強化合宿が、およそ3年ぶりに復活。9月にポーランドで予定されている第7回世界ウエイト制大会の日本の全8階級制覇だけではなく、5月の第7回JFKO全日本大会での新極真会の全階級制覇へ向け、男子主将の入来建武、副主将の亀山真、女子主将の手島海咲、副主将の野邑心菜をはじめとする日本代表選手、リザーバー、ユース・ジャパン強化指定選手が、コロナ禍での人数制限の中、入れ替わりで稽古を行なった。3日間の合宿の模様をお届けする。
【初日】
体調不良などで不参加となった落合光星、江口雄智を除く日本代表選手34名が全国から集結。初日となった25日は有明ヘッドクォーターからほど近く、選手やコーチ、関係者の宿泊先でもあるヴィラフォンテーヌグランド東京有明で、19時30分から結団式が行なわれた。
冒頭にあいさつを行なった緑健児代表は「このコロナ禍において合宿が開催できるのも、裏方のみなさんの尽力あってのことです。また、温かく送り出してくれたみなさんのご両親、師範や先生方、道場の仲間の支えがあってこそだということを忘れないでください。そういった方々に恩返しをするには、強くなるしかありません。絶対に手を抜かず、全力でやり切ることをテーマに稽古をしてください」と語りかけ、日本代表総監督の三好一男副代表は「このコロナ禍において合宿が開催できるのは、新極真会だけです。コーチは世界チャンピオンばかりです。あと必要なのはみなさんががんばることです。日の丸に恥じないように明日から稽古をがんばってほしいと思います」と檄を飛ばした。
続いて、日本代表男子選手団、女子選手団、リザーバー、ユース・ジャパンメンバーが順に紹介され、最後は日本代表監督である奥村幸一師範がメッセージを送った。
「JFKO全日本大会は全階級どころか新極真会が一度も獲れていない階級もあります。3月のJFKO青少年大会、5月のJFKO全日本大会、9月の世界ウエイト制大会を乗り越えられるように、この3日間を有効に過ごしてください」
その後、奥村師範はユース・ジャパン選手へユースの歴史や意義を話し、関係者の紹介に続いてフォトセッションが行なわれた。
【2日目】
48名の選手全員が揃う最初で最後の稽古となった午前稽古は、眼前にレインボーブリッジを望む豊洲ぐるり公園でランニングを行なった。その後は島本雄二コーチが陣頭指揮を執り、試合を優位に運ぶためのポジション取りの技術指導が行なわれた。
稽古終了後、緑代表は「なぜ島本チャンピオンが体格の大きい海外選手と闘っても世界大会を連覇できたのか。それはパワーに負けない体さばきができたからです。今日教わったことを体にしみ込ませて、試合の場でも出せるようにがんばってください」と語った。
有明ヘッドクォーターで開催された午後の稽古は入れ替わりの3部制で行われ、最初は男子選手が1時間の稽古を行なった。基本稽古に続いて組手稽古が行なわれ、軽量級&中量級、軽重量級&重量級に分かれ、それぞれ総当たりで2分3ラウンドを繰り返し行なった。コーチ陣は塚本徳臣コーチ、山本健策コーチ、新保智コーチ、石原延コーチ、塚越孝行コーチ、阪本晋治コーチ、島本雄二コーチという顔ぶれ。塚本コーチは稽古終盤、「足が止まり始めてるから足を動かせ!」とアドバイスを送った。
16時から行なわれた女子選手の稽古も男子同様、基本稽古と組手稽古を約1時間行なった。塚本コーチと島本コーチは引き続き指導を行ない、そこに将口恵美コーチ、南原朱里コーチが加わった。将口コーチは構えについてアドバイスを送り、「疲れた時も、こういった構えや島本雄二コーチに教わったポジション取りを意識してください」と話した。
本来であればこの後に全世界をつないだオンライン稽古が行なわれる予定だったが、緊迫するウクライナ情勢を鑑みて中止に。男女日本代表選手が基本稽古を行ない、2日目の稽古が終了した。
夜には有明ガーデンラウンジで決起会が開かれた。日本代表男女主将である入来建武、手島海咲の進行で、今期でユース・ジャパンを卒業となる神原詠二と目代結菜が紹介された。神原は「コロナ禍で限られた人数ではありましたが、みんなで集まれてよかったと思います。明日は最終日なのでみなさん最後までがんばりましょう」と話し、目代は「ユースのいいところは全国の強い選手と闘えることで自分の力量がわかることだと思います。これからもユースで学んだことを活かして精進したいと思います」とコメント。ふたりには奥村監督お手製の卒業証書が授与された。
続いてユース・ジャパン1期生の島本コーチ、将口コーチ、亀山真、加藤大喜が紹介され、それぞれ当時の思い出や現役ユース選手へ激励のメッセージを送った。翌日に控えるJKO昇段審査会の審査委員である外舘慎一師範があいさつを行ない、その後は島本コーチ、将口コーチの司会で、男子中量級日本代表の緑武士と南原コーチがサプライズで紹介され、ふたりは昨年8月に入籍したことを報告。2019年に山本和也と結婚した加藤小也香もあらためて結婚を報告した。
【最終日】
有明ヘッドクォーターでの稽古はユース・ジャパン&リザーバー、日本代表選手の2グループに分かれ、時間差で稽古が行なわれた。9時30分からのユース&リザーバーは、前日同様基本稽古に続いて男女それぞれが総当たりの組手稽古を行なった。稽古終了後のユース・ジャパン強化合宿解散式では、緑代表が「3月のJFKO青少年大会、5月のJFKO全日本大会は絶対に新極真会が優勝するんだという意識でがんばってください。コロナ禍で今回はあまりきつい稽古ができませんでしたが、大事なのは絆です。これから自分の道場に帰って稽古をがんばって、試合会場では自信に満ちた顔のみなさんに会えることを期待しています」とコメント。三好総監督は「将来、新極真を背負って立てるように、これからも努力精進してください」とエールを送った。奥村監督は「5月のJFKO全日本大会は、諸流派に勝って新極真会の全階級制覇を成し遂げてください。合宿を開催してもらった感謝の気持ちに結果で応えてください」と檄を飛ばした。
続いての日本代表選手は、時間が限られていたこともあり男子は4つの階級別、女子は軽量級&中量級、軽重量級&重量級がそれぞれ2分3ラウンドの組手を2セット行なった。
日本代表強化合宿の解散式では、最初に緑代表が「稽古量は少なかったですが、みなさん集中してできたと思います。また、この合宿で選手団の絆が深まったと思います。JFKOは新極真会の選手同士が当たるまで、世界ウエイト制は日本人の選手同士が当たるまで勝ち上がる。これが使命です」と話し、三好総監督は「いろいろな制限がある中で合宿を開催してもらったことに感謝をして、結果で恩返ししてください」とエール。その後は男子主将の入来と女子主将の手島が世界ウエイト制大会へ向けての決意を述べた。
合宿の開催をサポートした株式会社ドームの伊藤弘典さん、金森円花さんが紹介され、その後はウクライナ危機で犠牲となった方々への黙とうがささげられた。
最後に奥村監督が「ポーランドでは何としても全8階級制覇をはたし、来たる第13回世界大会では男女ダブル優勝を成し遂げてください」と締めくくった。