――今大会は「武道」というキャッチコピーが掲げられました。
「世界大会を頂点とする無差別の闘いは〝武道空手〟を標榜する新極真会の本分です。もちろんフルコンタクト空手のオリンピック種目化も私たちの夢ですし、その活動は今後も続けていきます。ただ、それはスポーツとしての一側面であり、一方で武道空手をさらに発展させ、オリンピックに負けない規模とステータスを築いていくことも私たちの重大な使命です。選手の皆さんにも、ぜひ武道空手の魅力を体現してほしいですね」
――トーナメント表(29~31ページ)を見た感想はいかがですか。
「何と言ってもゼッケン1のヴァレリー・ディミトロフ選手が脅威ですね。今大会のテーマの一つは〝ストップ・ザ・ヴァレリー〟でしょう。彼は毎回優勝候補に挙げられてきましたが、心技体ともに今が最も充実していると思います。また、爆発的なパワーを持ったルーカス・クビリウス選手もシードに入っていますが、私は個人的にナザール・ナシロフ選手に注目しています。若く勢いがありますし、今後のロシアを担う選手として優勝を狙っているはずです」
――それを迎え撃つ日本選手団は、新世代の選手が多くなりました。男子の平均年齢は24歳です。
「10年にわたるユース・ジャパンプロジェクトの中で、三好一男総監督や奥村幸一監督が新極真の伝統を植えつけてきたので、王座死守の決意は強いと思います。そして、仲間同士の絆は旧世代以上だと感じています。全員が素晴らしい闘いをしてくれると期待していますが、中でも負ける姿が想像できないほど安定している島本雄二選手、20歳とは思えない風格を備えた入来建武選手、JFKO全日本で重量級2連覇を達成した山本和也選手、軽量級で国内無敵の前田優輝選手には注目しています。彼らが日本を引っぱるような闘いを披露してくれれば、チーム全体が勢いづくと思います」
――女子のシードは加藤小也香選手とチェンゲ・ジェペシ選手です。
「チェンゲ選手は誰もが認めるヨーロッパのトップですが、加藤選手はスピードとテクニックで重量級選手を圧倒する力があります。前回優勝の将口恵美選手、ワールドカップ3連覇の佐藤弥沙希選手、他流派ながら出場権を勝ち取った菊川結衣選手や木村敬代選手などタレントが豊富なので、激しい上位争いになるでしょう。その中で、日本は前回のように男女優勝を成し遂げてくれると信じています」
――KWU(極真世界連合)からも12名がエントリーしています。この交流はフルコンタクト空手界にとって歴史的な出来事ですね。
「そうですね。10月3~4日には私たち新極真会の選手がKWUの『極真空手ワールドチャンピオンシップ』に出場しました。この交流をきっかけに、世界のフルコンタクト空手を一つにまとめることが私たちの目標です。選手もファンもそれを望んでいるでしょうし、それは空手界の大きなパワーになるはずです。ただ、交流と言っても試合である以上、勝たなければいけません。選手たちも意識し合って、他流試合のようなムードになると思います。KWUで実績のある選手たちは今大会でも上位に食い込むだけの力を持っていると思うので、新極真勢が苦戦をしいられる可能性は十分にあります。主役の座を奪われないよう、気を引き締めて闘ってほしいですね」
緑健児代表「日本の男女優勝を信じています」
2015.10.24
代表メッセージ