皆さま、長引くコロナ禍でもお変わりなく健やかに過ごされていることと存じます。日本では少し早く桜の季節を迎え、学校では新入学の時期となりました。コロナ禍であろうと変わらず過ぎゆく時間のなかで、確実に育まれるエネルギーや新しい命の芽吹きを感じながら、ゆっくりと新緑の眩しい5月に向かいます。
3月7日には年次の日本地区昇段審査会を行い、国内の支部長道場長や、昨年11月に開催した第52回全日本大会で見事に優勝した入来建武選手を筆頭にした修錬者の皆さんが昇段を果たしました。武道の段位は厳かなもので、心技体の到達は言うまでもなく、弛まぬ日々の努力を重ねる姿勢が見極められて、審査の場に立つことが許されます。何事もすべてが学びであるという素直で謙虚な心のあり方が問われ、そこに自ずと師への敬いが芽生え、親への感謝が湧き出てきます。昇段した皆さんの変わらぬ生涯修行を期待しています。
また、13日、14日にはドリームフェスティバルを開催しました。本来であれば昨夏に国際大会として行う予定でしたが、コロナで延期となり、感染の拡大を受けて中止を覚悟しておりましたが、急きょ施設の利用が可能となり、開催する運びとなりました。開催地である東京および周辺各県に緊急事態宣言が発令されていた中での開催を判断しましたが、一層の感染防止策を強化して安全第一で実施しました。その後、2週間の参加者の健康観察期間を経て、特段の感染の報告がないことから、安全に遂行されたものとようやく胸を撫で下ろした次第です。今、改めましてご協力いただいた関係各位に心からの感謝を申し上げます。
選手や保護者の皆さんもこの大会を通じて、コロナ禍に屈せず自分自身の稽古をコツコツと積み上げた成果を確認できたことと思います。感染対策上、在館人数や応援に制限が設けられ、静けさの中での戦いはいつも以上に自分自身と向き合うことができたことと感じます。今大会は、インターネットを通じて世界各地に映像を届けました。選手の皆さんの頑張りが世界各地で試合を心待ちにする仲間たちを勇気づけたことでしょう。やはり、大会は人を育て、人と人の絆を強く意識させてくれます。日本全国から集まった老若男女の全世代の選手の皆さんの闘い、そして遠くからその姿を声を殺して静かに見守る家族や同志の姿をみて、本当に大会を開催して良かったとうれしく思いました。今後も、感染予防の創意工夫を重ねて、大会開催を継続して、選手たちの努力に応えたいと思います。ともに、がんばっていきましょう。
また、新極真会が幹事を務めるフルコンタクト空手の全日本(JFKO)、全世界(WFKO)の選手権大会も再始動します。全日本は5月に、全世界は9月に開催されます。特に、この全世界大会はとても開催のハードルの高いものとなります。開催場所や選手関係者の移動と宿泊の安全確保、そして何より国際間の移動制限など。自助で超えられるものは精一杯の努力をして、闘いの場を求める世界のフルコンタクト空手家の夢の実現に応える。フルコンタクト空手各団体の先生方と手を携えて、この難局を突破していきたいと思います。こうした動きの一方で、新極真会の選手は最強最大の空手団体との自負を持って、このフルコンタクト空手の闘いに挑んで欲しい、そして挑むための準備、稽古を精一杯積み上げてほしいと願います。
どうか、新極真会の一員であるという誇りを忘れず、一日一日、一瞬一瞬、いかなる苦難に直面しても、喜びを持って前に進んでいきましょう。コロナであっても、フルコンタクト空手流派団体の世界決戦であっても、すべてのピンチをチャンスに変えていく逞しさを持って全世界、全日本フルコンタクト空手道選手権大会に向かっていきましょう。コロナウイルスとの長期戦ではありますが、支部長道場長の皆さまにおかれましては、どうかお体に気をつけて、元気で充実した日々をお過ごしください。押忍
新極真会代表
緑健児