今年最後のニュースレターとなりました。季節は冬となり、寒さが厳しくなってまいりました。皆さまは、どのような今をお過ごしでしょうか。充実した日々をお過ごしと拝察いたします。長引くコロナ禍は、共生社会へのリノベーションを進めながらゆるやかに終息に向かっているように見受けられますが、変異ウイルスの出現に警戒を緩めることはできません。
先日、12月12日に第53回全日本大会を大阪で開催いたしました。コロナ禍による開催制限はありますが、2年ぶりの有観客の大会を開催することができました。新極真会を応援してくださる皆さまをお迎えして、同じ空間でフルコンタクト空手の醍醐味を共感できましたことを心からうれしく思い、有り難く感じました。そして、無観客で行いました昨年の大会もそうですが、コロナ禍で経済的ダメージが深刻ななかでも、協賛し続けてくださる企業団体の皆さまのご浄財の有り難みが心に沁みました。それゆえに、この大会はとても厳かで、感謝に満ちたもの。会場内ではコロナ禍ゆえの拍手の応援。無言のなかに強い想いや願いが込められ、その響きは特別な音色となりました。ご来場の皆様にもたくさんの制限にご理解とご協力をいただきました。コロナ禍で開催する大会に出場する選手には、大切な感謝の心がいつも以上に必要となります。運営側の心に呼応するかのように、コロナ禍で様々な制限がある中で稽古を続けてきた選手の奮闘を見せてくれました。どの試合も人間と人間の純粋な心が技となり、鍛え上げた肉体から繰り出されました。選手が魅せてくれた心技体の究極に感動いたしました。
男子では、フルコンタクト空手各団体から多くの強豪選手を迎えた最強トーナメントで2連覇した入来建武選手の戦いは堂々としたものでした。また、女子では16才の鈴木未紘選手が初出場の全日本で体重判定を経た最終延長を戦い抜き準優勝に輝きました。一昨年、白血病を発症した鈴木国博師範の長女です。スタンドで見守る鈴木師範やご家族の想いを背負って懸命に、一心に戦う姿に胸を打たれました。この他、入賞した多流派の選手たちも女子で3連覇した久保田選手を筆頭に厳しい稽古をうかがわせる堂々とした戦いぶりでした。また、この大会を目指して流派を超えて切磋琢磨していって欲しいと願います。選手の皆さんの健闘を讃えます。
同大会の結果を踏まえて、日本地区代表が選抜されましたが、同じ時期に開催された欧州選抜、ロシア選抜のトーナメントで勝ち上がった選手やこの他の各地区選抜を勝ち上がった選手たちとの選手権での戦いを楽しみにしております。
世界のフルコンタクト空手界では、統一競技会の編成により、ゆるやかな大同団結が進んでいます。同界は、多種多様な一門一派の存在を礎とする、多様性の文化を特色としています。世界各地区でも、こうした和合の動きを進めていることと思います。その動きが大会や会議といった具体性を帯びたとき、期待や不安などが出てくることと思いますが、議論を重ねて最善の道を突き進んでいただきたいと思います。一門一派の教えを授ける、授かる。積年の修行を通じて紡がれる師弟の絆の尊さに配慮し、その集合体となる各団体の考えを尊重しながら前進していきましょう。
コロナ禍は共生社会の変革を重ねて終息を目指していますが、国際的な人の往来には制限が強化されているようです。来年9月24日、25日にポーランドで開催予定の第7回全世界ウエイト制大会も、開催のハードルは高くなります。コロナ禍でも稽古を続ける選手のために、あらゆる対策を講じて実現させたいと考えています。世界各地の選手の頑張りを思い描きながら、最高の大会を開催できるように努力を重ねてまいります。
最後になりましたが、約2年に及ぶ新型コロナウイルスとの共生は、自分自身を見つめ直す機会となりました。WKOにおいて、大切にしたいものが何であるか。コロナ禍で開催したとても尊い大会、それを支えてくださるすべての皆さまのお心遣いに感謝して、来たる2022年がとても実りある希望の年になるように努めてまいります。心の有り様は、その人の行動や言動に現れます。「心極める」という理念のもと、そうした表現に心を込めながら、より充実した組織として、未来に向けて進んでまいりましょう。WKOに集うすべての皆さまの健康とご多幸を祈念しながら、今年最後のご挨拶とさせていただきます。
メリークリスマス、そしてハッピーニューイヤー。押忍
新極真会 代表
緑健児