3月14日~16日の3日間、第1回WFKO世界大会日本代表強化合宿兼第2回JFKO国際大会強化合宿が、山梨県・富士緑の休暇村で開催されました。
本合宿には男子主将の多田成慶、女子主将の鈴木未紘をはじめとした男女10階級の新極真会日本代表選手21名が集結。第2回JFKO国際大会に臨む選手たちも全国から集い、総勢126名が富士の麓で3日間の稽古に取り組みました。
【初日】
グラウンドで全体集合写真を撮影したのち、体育館での結団式に移行。冒頭では緑健児代表が挨拶を行ない「これから2泊3日の強化合宿が始まります。全員がすべて出し切った、手を抜かないで全力でやれた。そう思えるかでこの合宿の価値が決まってきます。やりきった達成感を得て合宿を終えるようにしてください。WFKO世界大会の初代チャンピオンが新極真会の中から出ることを監督・コーチ陣も願っているので、それを叶えられるようにがんばっていきましょう。JFKO国際大会では先輩たちのトップチームがいない中、チャンピオンになった選手は前を走る先輩に迫るくらい一気に力がついていきますから、チャンスだと思います。これからは君たちがフルコン界を引っ張っていってください」と選手たちにエールを送りました。
選手強化委員長の三好一男副代表からは「今日はみなさんの指導のために歴代世界チャンピオンをはじめ、新極真会のトップ指導陣が来てくれています。手を抜いたりすることは絶対にあってはいけません。苦しい時、支えてくれる人たちに感謝の気持ちを持てばがんばれると思います。みなさんは新極真会を守る気持ちを持って、どんな強い選手と闘っても、もし負けそうになっても相手に少しでもダメージを与える。そういう思いで新極真会の魂を守ってもらいたいです。普段の立ち振る舞い、身だしなみなどもしっかりとしたチャンピオンになっていただきたいと思います」とメッセージが送られました。
選手強化副委員長である奥村幸一師範、コーチ、選手強化委員、デジタル委員会、オブザーバーの面々、本合宿の協賛企業である株式会社新晃製作所が紹介された後、男子主将の多田成慶と女子主将の鈴木未紘が選手団を代表して決意を語りました。
「この場を設けていただきありがとうございます。この合宿を通して男女ともに全階級制覇、伝統継承できるようにがんばっていきます。3日間よろしくお願いします」(多田)
「合宿に参加させていただけたことに感謝します。第1回WFKO世界大会、第2回JFKO国際大会ともに必ず全階級制覇できるよう、3日間全力で稽古に取り組みます。ご指導よろしくお願いします」(鈴木)
奥村師範は「大山倍達総裁が世界大会を開いて、第1回大会から13回まで男子は負けたことがありません。女子は第10回で初めて将口恵美選手が優勝し、そこから緑朱里選手、鈴木未紘選手が男女W優勝をはたしました。昨年から型競技の世界大会、全日本大会が始まり、第1回となる型・世界大会で男女W優勝を成し遂げ、初開催のKCCでも男女W優勝を達成しました。今回開催されるのは、WFKOが主催するフルコンタクト空手の第1回体重別世界大会です。第1回を獲らないと伝統継承になりません。歴代の世界チャンピオン、世界の舞台で闘った選手たちも今はコーチになって現役選手を支えています。必ず組織や選手団、道場の仲間に報いるように。全員で全階級制覇を目標に掲げて、3日間の強化合宿を乗り越えてください」と鼓舞しました。
熱いメッセージで全体が引き締まったのち、合宿の幕開けとなる基本稽古がスタート。上段廻し蹴り200本では気合いのこもった声が体育館に響きました。
続いては塚本徳臣師範が技術セミナーを実施。組手のテクニックが複数伝えられ、海外勢対策と自らの技術向上ため2人1組の組手で教わった技術を実践しました。
続けて男女階級別で組手を1分7ラウンド5セット行ない、最後は選手強化委員の谷川光師範指揮のもと、サーキットトレーニング(8種目)を20秒3セット行ないました。
谷川師範は実施に先立ち「サーキットをやっている中で、きついと思ったら軽くやってしまうのか、試合を想定して『ここで攻めないとやられてしまう』と思うのか。何をするにしても自分の闘っている姿を想像して、きついと感じた時もまだ自分の実力の半分しか出していないと思って追い込んでください。自分の力を引き出せるようにがんばっていきましょう」と全体を鼓舞。選手たちも呼応するようにトレーニングを完遂し、最後は正拳中段突き10本で初日の稽古を締めくくりました。
夕食の後は株式会社ドームによるアンダーアーマーの商品説明会が行なわれ、インナーやスポブラなどが紹介されました。選手たちが実際に商品を手に取り、希望者は試着などを行なった後、記念撮影を実施して初日の行程が終了しました。
【2日目】
2日目は体育館での早朝稽古からスタート。緑代表は冒頭、「今日が勝負ですので全力でがんばってください。稽古をしっかりやっていかないと試合で結果が出ません。人事を尽くして天命を待つと言いますが、出し惜しみをせず全力で取り組んでください。昨日は重量級のみなさんの組手が少し緩い部分がありました。男女全階級制覇を目指すうえで、他の階級が勝っても重量級が負けると新極真会として残念な結果になってしまいます。一瞬一瞬を大切にして、苦しい中でも笑顔が出るくらいポジティブにがんばってください。そのほうが絶対に強くなります」と選手たちに発破をかけました。
奥村師範は「歴代の世界チャンピオンをコーチに据えて、世界で闘う技と魂を君たちに伝えて、王座を永遠に守ってほしいという願いでユース・ジャパンをつくりました。全員でその願いに応えてWFKO世界大会で優勝してください」と激励の言葉を送り、早朝稽古の前に全体の士気を高めました。
2人組でのストレッチも取り入れ入念に体をほぐしてから、チームごとに分かれて競走形式でのラントレーニングを実施(ダッシュは7種目)。各種目で最下位のチームには拳立て伏せ10回が課せられました。
朝食の後は午前稽古へ。緑代表が「空手の命は組手にあり。組手の命は基本にあり」と大山倍達総裁の教えを説き、選手たちに気合いを注入。基本稽古と廻し蹴り100本を完遂した後、島本雄二支部長から蹴りに対するカウンターの技術が伝えられ、2人1組の実戦形式で技術を落とし込みました。
2分3ラウンド3セットの組手を挟んだ後は、島本支部長が突きについて解説しました。対策のために2人1組で2分3ラウンドの組手を実施し、午前稽古が終了。稽古後は全体で世界大会に向けて「フルコン空手家全員集合」のプロモーション映像を撮影し、午後稽古に移行しました。
午後は基本稽古を経て、男女に分かれてのセミナーで技術が伝えられました。男子は入来建武コーチが下段廻し蹴りを指導。約束組手を2分3ラウンド行ないテクニックの定着を促しました。
女子は将口恵美コーチがカウンター、下段蹴りを指導。寸止めでの技の確認、2人1組での約束組手を実施し技術を体に染みこませました。
続けて男女階級別での組手(2分3ラウンド3セット)、2人1組での腹打ちで肉体をいじめ抜いた後にサーキットトレーニングを3セット実施。最後は正拳中段突き10本で2日目の稽古が終了しました。
夕食前には木元正資師範が乾杯の挨拶を行ない、「第1回WFKO世界大会、第2回JFKO国際大会での全階級制覇のために、あと1日全員でがんばっていきましょう」と選手たちを鼓舞。合宿2日目を締めくくりました。
【最終日】
2日目の夕方から降り始めた雪の影響でスケジュールが変更となり、早朝稽古は中止。9時から合宿最後の午前稽古が行なわれました。
基本稽古の後は緑代表から「男女ともここまでよくがんばりました。ケガやダメージがあると思いますが、試合では脚がダメなら突き、腕がダメなら蹴りといった闘い方をしなければなりません。今回のWFKO世界大会のトーナメントは半分近く諸流派です。海外の選手もそうですが、最低でも自分のブロックの諸流派を絶対に止める。それをまずは頭に入れて闘ってください。振り返ると、負けた試合は自分があきらめてしまったところがあると思います。あきらめない気持ちは日頃から限界を越えた稽古をすることで培われます。合宿最後の稽古を一番の動き、一番の気合いでがんばってください。大会で最初から一、二回戦突破、ベスト8進出などを目指しては目標に到達できません。自分がチャンピオンになるという意識を持って臨んでください。帰ってからも稽古をがんばって、すべてやり尽くして有明アリーナで会いましょう」メッセージが送られました。
3日間ラストの組手は男女階級別に分かれ、実戦と同じように男子が3分、2分、2分。女子は2分、2分、2分をワンセットとして計5セット行なわれました。
合宿の総仕上げとなるサーキットトレーニングでは全員が最後の力を振り絞り、3セットを全力で完遂。全員が限界に挑む姿、日本代表選手が互いを刺激し合い、懸命に追い込む姿が光りました。
セットを終えた後は気合いを込めて正拳中段突きを10本行ない、合宿の全行程が終了。なお、稽古後は積雪による交通状況を加味し、解散式は行なわずに富士緑の休暇村を後にしました。