この度は、昇段審査の機会をいただき、誠にありがとうございました。また、審査に向けて協力していただいた、緒先輩、後輩の皆さま方にも大変感謝をいたしております。
思えば東京に来て10年が経った頃、夢がついえた時に見えたもの、空手が、新しい希望となりました。ＴＶで見て空手の技に魅かれたものの、始めることの怖さにためらいを感じていましたが、始めてみないことには何も進まないと思い、道場の門を叩きました。
“ウワァァー”とビッグミットを叩き続ける、ただひたすらがむしゃらに叩き続ける、疲れて息が上がっても叩き続ける。稽古に対する真剣な緊張感。また、今日はどんな稽古をするのだろうというワクワク感が、普通の社会生活では味わうことが出来ない感動がありました。年月を重ね、帯を重ね、先輩と呼ばれる立場になっても、次はああしてみよう、こうしてみようと充実した日々がありました。
震災時に感じた虚無感、故郷の福島を想う時の喪失感。そんな時でも道場には空手をする仲間がいました。出来る人はそれをするべきで、それぞれが出来ることを一生懸命にしようとまた歩き始めました。
審査当日は、準備運動から移動稽古にいたるまで細かな注意点について、直接の師範からのアドバイスがあり更に身が引き締まりました。
十人組手では、普段の稽古の組手にはない緊張感と、一人ずつ人数を重ねるごとに、蹴る脚が上がらない、突く腕が上がらない、技をガードすることもしんどくなるという限界感がありました。終わった時は達成感というよりも不甲斐なさばかりが残りました。疲労した時には得意な技しか出せず、技を一つひとつ習得し積み上げていかなければならないことを痛感しました。
審査を終え今後の責任を感じつつ、反省、感謝、初心を忘れずに目標を持って日々精進してまいりたいと思います。
押忍
東京東支部
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