人生で最高の達成感
この度は昇段審査を受審させていただき、また昇段をお許しいただきありがとうございます。
僕が空手を始めたのは保育園に通っていた頃でした。泣き虫で弱々しい僕を強い子に育って欲しいという願いで両親が勧めてくれました。
初めは空手のことや礼儀がまったく分からず、多くの方に迷惑をかけていたと思います。しかし、師範や先生方のご指導もあって心身ともに鍛えられたと思います。
空手の世界は厳しく、時には辛い稽古もたくさんありました。道場に行くのが 嫌で嫌で仕方がなかった時もたくさんありました。
でも、そこで休まず頑張って稽古していると、奈良の交流試合で三位になっている自分がいました。初めての入賞は僕に頑張ることで得られるものを教えてくれました。これをバネにさらに稽道場での稽古を頑張ったり、家で自主練習をしたりして、さらに自分を磨こうと努力しました。
中学一年生のときには部活や塾などの理由で空手を休会したときもありました。それから二年ほど経ち、また再び奈良支部の一員として再スタートしました。
初めて昇段審査を見たのは小学生の頃でした。初めて見た十人組み手は当時の僕にとって大きな衝撃だったのを覚えています。
とても苦しいはずなのに踏ん張り、体力 がほとんどない状態のはずなのに動き続ける先輩を僕は心の底から尊敬し、応援しました。
ただただ感動しました。これが黒帯の先生方や師範の通った道なのかと実感し、そして自分には遠い存在だなと思っていました。
しかし、それから数年経った高校一年の秋。特に中の良かった仲間が黒帯になり、次はお前の番だと言ってくれたのをきっかけに、本気で黒帯を目指してみようと思いました。
出来るだけ稽古量を増やし、まずは受審の許しを貰うことを目指しました。型も移動も全然出来ていなかった僕に時には師範からの厳しい言葉もありましたが、それをバネに家での自主練習の時間を増やし、稽古で言われた点を見直していき、なんとか受審の許しをいただき、当日を迎えました。
当日はずっと審査のことで頭がいっぱいでした。
審査での基本、補強、移動、型すべてに全力を注ぎました。すごく緊張していて、頭が真っ白でしたがそれらを乗り越えて遂に十人組み手を迎えました。
昔、初めて見た先輩、そして仲間達の十人組み手のように僕もやれるのか……。不安はありましたが、十人組み手の前に師範が声をかけてくれ、少し気持ちが楽になりました。
一人、二人目と組み手を重ねるごとに痛く、苦しい十人組み手でしたが、先輩や仲間達、そして師範の応援が僕の背中を押してくれました。
力を出し切り、十人組み手を終えた時今まで感じたことのない達成感が満ちていくのが分かりました。うれしさ のあまり涙が出てきました。
そして、この涙は昔の泣き虫だった頃に流したものとは価値がまったく違うものだと思います。
これからは黒帯として恥ずかしくないように頑張っていきたいです。
最後に、ここまで支えてくださった師範を初め、先生方、仲間達、そしてここまでの長居時間いつも温かく見守ってくれた家族に感謝の言葉を。
本当にありがとうございました。
まだまだ未熟者ですが、これからもよろしくお願いします。
奈良支部
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