この度は、昇段を認めて頂きありがとうございました。
私が極真空手を学び始めたのは5歳の頃からで、先に入門していた父と兄の影響を受けたことがきっかけでした。
まだ幼稚園に通っていた頃に2人が毎週決まった曜日・時間に稽古に出かけて行くのを見ていた私は、ただ一人にされたくないという理由だけで何となく入門を決めたことを今でも憶えています。
幼稚園の年中のときに入門し、その後小・中学校と稽古に参加し続けてはいましたが、途中稽古に行くのが嫌になり休会していた期間もありました。
父や兄と違って定期的に昇級審査を受ける以外、大会に出場する等の明確な目標を持っていなかった私は、二人に比べて稽古に真剣に取り組んでいるとは言い難い状態でした。
父の影響で昔の全日本ウェイト制大会のビデオやブルース・リーの映画を見たりする等、強さに対する憧れはどこかに持っていたとは思います。
ですが私には生まれ持った身体能力や才能がある訳でもなく、体格的にも他の同級生と比べ大抵クラス内で一番小さかったので、フルコンタクト空手において武器となるものは何一つ持っていませんでした。
小学1・2年の頃に何度か小さな大会に出たことはあったのですが、毎回頭一つ以上大きな子と初戦で当たり負けてしまっていました。
自分の力が真剣勝負の場では全く通用しないことを理解していたので、その後は正直試合に出ることが怖くなり何かと理由をつけては何年も逃げ回っていました。
組手では全く勝てず一時は型の大会で結果を残そうと子供なりに努力していた時期がありましたが、結局それも目標に届くことは無かったので、少なからず空手に対しての未練の様なものは持っていたとは思います。
しかしそれ以上に怖さが勝ってしまい、一歩踏み出すことが出来ずにいました。
しかしその間も大会を目指して努力を続け、トロフィーを持ち帰って来ることも多かった二人の姿を見続けていたので、少なからず思うところはあったのだと思います。
そして高校二年生の頃、兄が進学のため地元を離れたり、祖父が亡くなってしまったり等色々な出来事が重なり、このまま二の足を踏み続けていたら将来必ず後悔すると感じた私は、ようやく大会への挑戦を決意し選手クラスの練習にも少しずつ参加する様になっていきました。
試合は当然ながら厳しく、勝ったり負けたり時には全く勝てない状態が何年も続き苦しんだ時期もありました。
そんな時期がありながらも練習を続け、一昨年長年の目標の一つであった福島県大会制覇を達成することが出来ました。
16歳から挑戦し始めて32歳で県大会初優勝。
そこまで辿りつくのに気づけば人生の半分を費やしていました。
そんな中で昇段審査の話を頂いたのですが、稽古はずっと続けていたものの14歳の頃からずっと1級だった私は、昇段は何処か自分には縁のない話だと考えており、目標としては正直全く考えていませんでした。
昇段するにあたり挑まなくてはいけない十人組手もとても恐ろしいものだと理解していましたが、連続組手の経験は自身にとって間違いなくプラスの経験になると確信し、審査に挑むことを決意しました。
自営業の父や兄と違い、看護師として夜勤の多い三交代制の勤務をしている私は、毎日決まった時間帯に練習時間を確保することは出来ないため、道場内の稽古には余り参加することは出来ませんでした。
参加出来なかった分は自主練で補おうとしてはいたものの、それでも十分とは言えず正直練習量にはかなり不安がありました。
それでも「完璧でなくてもいいから、今の自分に出来る精一杯のことをしよう」と何とか自分に言い聞かせ当日を迎えました。
丸20年振りに経験する連続組手でもあり勝手もほとんどわからなかったため、試合のときと同じ位物凄く緊張しました。
前半は練習した通りに動けた場面もありましたが、中盤以降はやはり思い通りには行きませんでした。
覚悟はしていたものの終盤では相手の動きは見えても体が動かず、防御に使い過ぎた両腕は腫れ上がり反撃しようにも全く力が入らない常態になる等、まさに経験した者にしか解らない苦しさを思い知りました。
しかし、応援して下さった方々の声が力になり、何とか十人組手を完遂することが出来ました。
私は生まれ持った才能も恵まれた体格も、フルコンタクト空手において武器となる要素は何一つ持ってはいません。
しかしそんな私の様な人間であっても、諦めずに少しずつでも努力を積み重ねていれば、いつか大きな目標を達成するチャンスが巡って来ることを少しでも多くの人に今後は見せ続けていきたいです。
私が父と兄の背中を見て育った様に、黒帯としての自覚を持ちつつ少しでも多くの方々に良い影響を与えることが出来る存在になれる様、慢心することなく今後も精進して参りたいと思います。
最後になりますが、今回の審査において十人組手の相手を務めて頂いた諸先輩方、改めまして本当にありがとうございました。
新極真会福島支部 舩木俊弥 初段昇段レポート(2026年6月7日)
2026.08.07
昇段レポート