KCCタイトルを手中に収めるべく、新怪物が日本に再襲来する。昨年10月の全日本大会では日本の主力選手を次々に打ち破り、大会史上初の外国人王者となった。堂々の優勝候補として臨む2度目のKCCでも、強く脳裏に刻まれるほどの圧倒的な力を見せつけるか。
── 昨年はWFKO世界大会や全日本大会もありましたが、どんな1年でしたか。
「実りの多い1年でした。WFKO世界大会は、結果として負けで終わってしまいました。全日本大会に出場する機会を得て優勝することができ、世界大会での敗北を払拭することができました。そのため、1年をとてもよい形で締めくくることができたように思います」
── あらためて、チャンピオンとなった第57回全日本大会の感想を聞かせてください。
「非常に記憶に残る大会でした。チーム全体がこの大きな勝利に対して喜んでくれましたが、翌週にも別の大きな大会が控えていたので、次に進まなければいけないという意識もありました。すべての大会が終わって初めて、自分が成し遂げた成果の大きさを理解することができました。全日本大会の勝利は、自分にとってもカザフスタンにとっても、非常に大きな成果だと思っています。ただ、ここが限界値だとは思っていません。カザフスタンチームは、さらに高い目標に向けてがんばっていきます」
── お話にも出ましたが、全日本大会の1週間前にはカザフスタンの大会に、1週間後にはジョージアの大会に出場し、いずれも優勝しました。3週連続で異なる国のフルコンタクトの試合に出場することに多くの人が驚いたのですが、なぜそのような試みをしたんですか。
「答えはシンプルで、厳しいものに挑むのが好きなんです」
── ご自身の選手としての強みはどんな部分だと思いますか。
「メンタル面と気持ちの持ち方だと思います。自分にとって大切な目標なら、達成するために全力を尽くすと決めています」
── 第1回KCCから第57回全日本大会までの1年強で、急成長した印象があります。
「KCC当時は力や経験が足りないと感じる場面もありましたが、フィジカル面でかなり成長したと感じています。今でもすべての面で成長し続けることを意識していて、その歩みを止めるつもりはありません」
── 体が大きくなったことで、打たれ強くなった実感はありますか。
「まだ成長段階にあると思っています。この成長を活かすためにも、トレーニングやフィジカルに正しく、責任を持って、継続的に向き合っていく必要があります。それが結果的に、スタミナの向上にもつながっています」
── 全日本大会では一本や技有りを取りましたが、倒すことへのこだわりはありますか。
「自分のやるべきことは勝つことで、勝ち方にこだわりはありません。もちろん、一本を取ることが理想的ではあります。接戦になっても、誰が見ても納得するような形で勝ちたいです」
── 全日本大会で優勝して、さらに自信がついたのではないですか。
「大きな大会での勝利は、やはり自信になります。ただ、勝敗に関わらず、つねに自分を信じて目標に向かい続けることが大切だと思います」
── カザフスタンという国全体としても、空手母国の日本に追いつき追い越せるという手ごたえを感じられたのではないですか。
「それは今まで考えたことがありませんでした。ただひたすらに大好きなことに打ち込んで、目標を達成したいと思ってここまでやってきました。個人的には、他の国の選手レベルが上がるのはとてもいいことだと思います。お互いに競い合うことで、両国が成長できると思います」
── 日本の道場にも出稽古に行かれていますが、どんなことが勉強になりましたか。
「いくつもの道場を訪問しましたが、お互いを尊重する姿勢だけでなく、道場への深い敬意がとくに印象に残っています。日本の選手はとても規律正しく、意識が高いと感じました」
── ジョージア支部との合同稽古から得られているものは何ですか。
「2023年からジョージア支部と合同稽古をしていて、組手稽古の機会も設けています。彼らは本当に努力家で、向上心の塊です。お互いに刺激し合いながら、大きく成長できているように感じます」
── 日本をはじめ、全世界から狙われる立場になったことをどう思いますか。
「深く考えることはないです。ただひたすらに鍛えて、目標に向かって進んでいます。どんな相手でも挑む準備はできています」
── 第2回KCCの男子メンバーの印象はいかがですか。
「この大会に出場する選手は、全員それぞれに個性的で魅力的だと思います。だからこそ、相手ごとに闘い方を考えていく必要があると感じています」
── 前回大会王者の岡田侑己選手とは、まだ対戦歴がありません。
「とても興味深く、多彩で、日本人にしては少し独特な選手だと思います。対戦することになれば、とてもおもしろい試合になると思います」
── 第1回大会同様、アントン・ジマレフ選手とともに出場します。キンザースキー選手にとって、ジマレフ選手はどんな存在ですか。
「最高の仲間です。仲間と一緒なら、どんな困難や挑戦も乗り越えやすくなると思います」
── 今回は優勝候補として臨むことになりますが、第1回大会前との心境の違いはありますか。
「前回大会から2年が経ちました。自分なりに成長できた部分もありますし、物事をいい意味でシンプルに考えられるようになりました。一方で、トレーニングはより丁寧に向き合うようにしています。今大会では、これまでのミスをしっかり修正して挑みます」
── KCCは華やかな演出など、これまでの大会とは異なる部分が多かったと思います。第1回大会に出場した感想を聞かせてください。
「自分にとって、あのような大きな大会に出場させてもらえたことはとても貴重な経験でした。すべてが非日常的で、まるで映画の中にいるようでした」
── 前半はエヴェンタス・グザウスカス選手を押している場面もありましたが、後半に巻き返されました。
「自分の成長につながるいい経験でした。あの夜は彼が一枚上手だったと思います」
── KCCは少数精鋭のトーナメントですが、闘っていて普段の大会との違いは感じましたか。
「トップクラスの選手だけが集まっている点が最大の違いで、この大会の特徴だと思います」
── KCCに向けて、現在はどんな部分を強化していますか。
「特別に『これ』というポイントはありません。スキルを磨き続けながら、対戦相手に合わせた闘い方を選んでいきます」
── KCCでどんな闘いを見せたいですか。
「観た人が忘れられないような、意味のある試合を見せたいです。これまでのミスをすべて修正して、準備して、優勝します。自信はあります」
カザフスタン支部
2004年10月30日生まれ、21歳
カザフスタン出身。193cm、95kg
⃝第57回全日本大会優勝
⃝第19回全アジアフルコンタクト大会軽重量級優勝
⃝KWU World Cup Open 2023優勝