初代王者として臨む第2回KCCが控える中、5月の第10回JFKO全日本大会で痛恨の敗戦。一時は失意に沈んだが、周囲の支えでふたたび心に火を灯した。見つめ直したのは、感謝の心や己の在り方。大きな転機となったKCCの舞台で、力強く再出発を誓う。
── 第10回JFKO全日本大会では、準々決勝で鈴木皓大選手に敗れました。第2回KCCが控える中、痛恨の敗戦だったと思います。
「自分自身に腹が立つと言いますか、複雑な気持ちでした。JFKOで優勝して、KCCも連覇すると目標を掲げておいて、有言実行できなかったのが不甲斐ないですし、応援してくださる方々に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。正直、自分は本当にKCCに出る資格があるのかと悩みました」
── JFKOから日数が経って、気持ちの整理はつきましたか。
「大会後、数日間は整理がつきませんでした。空手家として進退を考えるくらいまで思いつめていた時、黒岡(八寿裕)師範や関西合同強化稽古でお世話になっている師範のみなさまから、たくさんのお声がけをいただきました。とくに山田(一仁)師範からは『沈む時もあるけれど、大事なのはそこからの立ち上がり』といったお話もいただき、自分はひとりで闘っていないと再認識しました。支えてくださる方々の気持ちを裏切るわけにはいかないと、立ち直るきっかけになりました」
── 強い葛藤があったのですね。
「この1年、モヤモヤとした気持ちを持ちながら稽古に励んでいたように思います。それが大きなケガへとつながり、また自分の組手を見失うことにもつながったのだと思います。今思うと自分の中に確固たる芯がなかったんだと感じています」
── 自分を見失いかけていたと。
「楽しかった稽古のはずが、ケガで思うように動けず、でも何とかがんばりたいと必死でもがいた日々でした。今思えば、稽古することが目的になってしまっていたと思います。ですが今は、応援してくださる皆さんのために気持ちのこもった迫力ある組手をしたいと思っています。KCCは初心に返り、気迫と勢いのある組手がしたいです」
── JFKOは見送る選択肢もあったと思いますが、出場した理由は?
「ひとつでも多く優勝して皆さんに恩返ししたかったので、チャンスがある限りは出場しようと思いました。今回はWFKOの日本代表選手が出る大会でもあったので、なおさらでした。WFKOの舞台に立てていないのは、一歩遅れている状況だと思っていたので、日本代表メンバーと闘って、追いつき追い越す気持ちでした。こういう結果になってしまいましたが、後悔はありません」
── あらためて第1回KCCを振り返ると、大きな転機でしたね。
「自分が全日本、世界クラスの大会で優勝したのはKCCが初めてでした。一般部には15歳から出場しましたが、27歳で初優勝なので12年かかりました。これだけかかれば途中で投げ出したくなったり、あきらめそうになったりしたこともありましたが、黒岡師範をはじめ和歌山支部の皆さん、職場の皆さんや家族に支ていただき、恵まれた環境で空手を続けることができました。周囲の方々のおかげでKCCのタイトルを獲ることができたので、本当に感謝でいっぱいです」
── 初のタイトル獲得を通じて、ご自身にどんな変化がありましたか。
「何より自信がついたと思います。努力が報われた瞬間だったので、自分がやってきたことは間違いではなかったと思えました。より積極的に努力したり、挑戦したりするようになりましたし、できるかできないかではなくて、挑戦して必ず成功させるというマインドを持てるようになりました。自分と同じように結果が出ずに悩んでいる選手に対して『あきらめなければ夢は叶う』と伝えられたこともうれしかったです」
── 今回のKCCも強豪揃いです。第57回全日本大会で海外選手として初の王者となったアンジェイ・キンザースキー選手も出場します。
「全日本大会では対戦できなかったのですが、試合を見ていて本当に勢いのある選手だと感じました。あのリーチは驚異的ですし、懐に入られることを前提に対策していて、インもアウトも両方できるのは隙がないです。まずは自分の組手を全面に出して闘いたいと思います」
── 前回対戦したアントン・ジマレフ選手、渡辺優作選手、エヴェンタス・グザウスカス選手をはじめ、他のメンバーも強力です。
「リベンジを狙う選手は本当に気持ちが強いと思うので、それをスパッと断ち切るくらい鋭い組手をしたいです。相手が日本人選手であっても自分が勝って、その気持ちをしっかり受け取りながら優勝につなげたいと思います」
── 大会に向けた強化ポイントは?
「体のケアに力を入れています。腰のケガに対して、一度はフィジカル強化で天然のコルセットをつくる考えでしたが、筋量に対する柔軟性のなさが、可動域に負担をかけていると病院の先生から伺いました。なので今は筋量を無理に増やさず、稽古後にしっかり体をほぐすことを重視しています。KCCに向けていい状態を維持できています」
── 来年には第14回世界大会が控えていますが、男子日本代表は依然エース不在の状況が続いています。
「今回のKCCで勝ち切ることが、来年の無差別世界大会につながっていくと思います。今の男子日本代表に絶対的エースと呼べる存在がいない中で、昨年の全日本大会ではキンザースキー選手が優勝しました。これは歴史を変える大きな出来事だったと思います。そんな中で日本代表の不安要素を取り除き、来年の世界大会に向けて勢いを取り戻すためには、このKCCで何としても日本人が優勝を獲る必要があると思っています。自分も今年で30歳になるので、一つひとつの大会に『これがラスト』というくらいの気持ちで挑みたいです。第14回世界大会に関しては、今回のKCC、そして10月の(第58回)全日本大会で自分が優勝してエースになって、日本選手団を引っ張り、全員で王座死守、伝統継承したいと思っています」
── 先ほど年齢の話がありましたが、岡田選手が現役を続けるモチベーションは何でしょうか。
「自分は小さい頃から、新極真会の皆さまに育てていただいてきました。礼儀礼節や忍耐力、体の強さなどは空手を通じて身につけたものです。なので、可能な限りは現役を長く続けて、組織に恩返ししたい気持ちがあります」
── 選手としての活躍で、組織に貢献したいということですね。
「はい。その中で、第1回KCCで優勝できたことで、ひとつ大きな夢ができました。それはグランドスラムを達成することです。今の自分では到底及ばない、KCCとJFKO国際大会を獲ってやっとスタートラインに立った夢ではありますが、KCCチャンピオンになったことで大志も抱けるようになりました。現役の間にひとつでも実績を残し、組織に恩返しするとともに、後進にも多くのことを伝えていきたいです。まずは7月のKCCで、最高の形で再スタートを切りたいと思います」
おかだ・ゆうき(和歌山支部)
1996年10月18日生まれ、29歳
大阪府出身。180cm、93kg
⃝第1回空手Champion of Champions優勝
⃝第56回全日本大会3位
⃝第2回JFKO国際大会重量級優勝
⃝第15回アジアオープン大会重量級優勝
⃝第13回全世界大会5位