平素から新極真会の発展にお力添えを賜りまして心から感謝申し上げます。今年も余すところ二カ月となり、皆さんも慌ただしく多忙な日々を送られていることと思います。
10月にはロシアを訪問し、全ロシア大会を視察して参りました。ユーリ・シャバノフ国代表を中心にロシア地区支部長が一致団結して大会の成功に尽力している姿がとても印象的でした。本大会には多くの観客にご来場いただきました。管理の行き届いた運営に加えて極めて技術レベルの高い強豪選手たち、そして何より強固な支援者との連携。どれをとっても世界屈指の素晴らしい大会であり、とても感銘を受けました。この大会の主催者となったローマン・レズニック支部長やスタッフ、そして支援者の皆さんの努力に敬意を表しますとともに大会の大成功を心から祝福致します。
この大会の重量級は、昨年の世界大会でも活躍したワールドカップ中量級チャンピオンのローマン・ネステレンコ選手が優勝しました。新鋭のナザール・ナシロフ選手との決勝戦は世界的にも極めてレベルの高い一戦でした。ロシアの新時代を担う強豪選手との厳しい戦いを制したローマン選手は、昨年の世界大会終了後に一時、引退も考えたといいます。そんな彼が競技者として現役続行を決意した陰には、昨年の世界王者である塚本徳臣選手の助言があったようです。生涯修業を実践する姿、またあくなき強さを探求する真摯な姿勢にとても深い感動を覚えました。次のワールドカップだけでなく、第11回世界大会の優勝候補の最右翼のひとりであるローマン選手の活躍を心から期待しています。
先日、日本でも歴史と伝統のある第44回全日本大会を開催し、激闘に次ぐ激闘の末、大会史上初の兄弟決勝を制した島本雄二選手(準優勝:島本一二三選手)を筆頭にした新世代の強豪選手が続々と入賞者に名を連ねました。この大会の結果をもって、日本地区代表選手の選抜を終えましたことをご報告します。この大会の入賞者の中に鈴木国博選手の名前もあります。40歳を超えて、今なお試合に挑戦をし続ける第8回世界王者の姿には、ローマン選手同様に心からの賛辞を贈ります。同じく、ワールドカップでの健闘を祈念します。
さて、今年は欧州、アジア、南米、ロシアの各地区大会を拝見いたしました。いずれの大会も競技レベルが高く、ワールドカップ優勝を狙える実力を備えた強豪選手を多数確認いたしました。新極真会が最強最大の空手団体であるためには個々の選手が今以上に強く、そして高い競技能力を保持しなければなりません。こうした強さは一日一日、一瞬一瞬の厳しく、地道な稽古の積み重ねによって得られるものです。厳しい自分自身との戦いに打ち克ち、最高の状態で決戦当日を迎えて欲しいと思います。
最後になりましたが、新極真会は日々刻々、世界各国で地道な活動を継続して、確実な発展を遂げています。この発展の礎は、この組織に集う仲間たちとの友情にほかなりません。空手のオリンピック種目化という壮大な夢の実現も、こうした友情があってこそ可能になるものだと考えます。皆さんとの強い友情の絆を今一度大切に想い、足元をしっかりと見つめて未来に向かって前進していきたいと思います。
押忍。
新極真会
代表 緑健児