MENUCLOSE
OSU-NET お問い合わせ
ニュース
新極真会ニュース
ホーム > ニュース > ニュース > 新極真会ニュース > 島本雄二「入来選手だけに背負わせすぎている部分もある。他の選手がもっと奮起してほしい」

島本雄二「入来選手だけに背負わせすぎている部分もある。他の選手がもっと奮起してほしい」

2022.12.20
新極真会ニュース

――全日本大会の話の前に、まずは世界ウエイト制大会の感想をお聞かせください。
「結果だけを見ると、5階級制覇、入賞が19人と若い選手たちが躍動したと思います。その一方で次の世界大会、その先の世界ウエイト制大会を見据えた上で話をするならば、本当に厳しい結果になったというのが正直なところです。来年の世界大会のキーマンになる選手が敗れてしまったという部分で、非常に危機感を覚える大会でした」

――たしかに手放しでは喜べない結果とも言えます。
「本来、2年の修正期間があったものが、コロナ禍により次の世界大会まで1年しかありません。1年でこの差を埋めるというのは経験のないことですのでコーチ、そして選手も今まで以上に苦労すると思います」

――前回のカザフスタンと比べて、外国人選手が進化している部分も見えましたか。
「今までは日本人選手のほうがメンタル的に強かったり、勝ち上がっていくにつれての修正能力が優れている部分がありました。でも、ここ数年で外国人選手が日本人選手に似てきたと感じることが多くあります。フィジカルだけではないメンタルの部分、あきらめない心ですよね。そこに日本人選手が付け入る隙があったものが、今は外国人選手の心技体が揃いつつあるという印象を受けます」

――選手からも、そういった声が聞かれます。
「たとえ効かされても、そこから盛り返す選手が増えました。実際、世界ウエイト制大会のマシエ・マズール選手がそうでした。入来建武選手との試合以外でも必ず最後に盛り返して勝ち切るということをやっていました。それは(エヴェンタス・)グザウスカス選手に関しても同じです。5年前に自分が闘った時は、延長戦に入る前にグザウスカス選手がラッシュをしかけてきて自分がそこをしのぎました。出し切った後ということで最終延長ではメンタルの弱さが出ていたのですが、今回はそういった部分が見えませんでした」

――入来選手の試合に関しては、どのような印象を持ちましたか。
「決して調子が悪かったわけではなく、終盤にラッシュをかけられても落ち着いていたと思います。ただ、逆に落ち着きすぎたという印象も受けました。少し間合いを取った瞬間にマズール選手のヒザ蹴りが伸びてきたので、勝負師としての駆け引きの部分で誤算があったのかもしれません」

――その他で印象に残った試合などはありますか。
「多田成慶選手の決勝戦ですね。準決勝もそうですけど、気持ちの強さが見えました。決勝戦もカウンターをもらう中で苦しかったと思うんですが、なりふり構わず食らいついていく精神力はすごいと思います。でも相手の(ジュラス・)ソコロヴァス選手も、決勝戦の前に加藤大喜選手、ヴァレリー(・ディミトロフ)選手と最終延長まで闘っています。外国人選手のフィジカルに精神力が備わったらどうなるのか。それがよく見えた大会でした。軽重量級の決勝戦も、日本人の強かった部分を外国人選手が見せたという典型的な試合だったと思います」

――精神面以外で気になった部分はありますか。
「全体的に強化しないといけないですが、その中でも絶対に効かされないという打たれ強さでしょうか。ウエイトで筋肉をつけることも大事ですけど、力を入れるタイミングや呼吸、そういったものが重要になってきます。武道の原点である基本や移動、型などの稽古を大事にすると力の入れ方や呼吸法が身につきますので基本稽古を重視してほしいです」

――課題も見えた中で、世界大会の選抜戦となる全日本大会が迫ってきました。
「世界ウエイト制大会の代表選手には活躍してもらわないと困りますが、その一方で若手選手にも注目しています。高校生世代の遠田竜司、塚本慶次郎、高橋耕介。この3選手がわりとトーナメントのキーになるところに入っていますので、日本代表選手たちを食うくらいの気持ちでいけば面白い存在になると思います」

――ブロック大会を見ても、今年は若い選手が多く台頭してきた年でもありました。
「10代の選手がポーランドに限らず、ブロック大会などでも躍進しています。この選手たちが来年の世界大会の後に世代交代を目指すのではなく、次の全日本大会で『いい試合ができたらいい』という気持ちではなく『絶対に勝つ。今すぐに世代交代をする』という強い気持ちを持ってほしいです。一つ下の世代が育てば、1年後の世界大会に向けての未来が大きく変わると思います」

――若手選手の台頭は、世界大会に向けての大きな前進となります。
「正直、日本人選手は入来選手におんぶにだっこなところもあると思います。その負担を減らす意味でも、他の選手がもっと力をつけなければなりません。入来選手を脅かすような選手がもっと出てこないと次の世界大会は厳しいと思います」

――突き上げがあると、現時点のトップ選手の刺激にもなりますね。
「先ほども話しましたが、若い選手の中には『いい試合ができた』で終わっている選手も目につきます。その要因がどこにあるのかと考えると、稽古をしている中でどこかに妥協があるんだと思います。10本ダッシュをするとなったら、9本目まではがんばるけど10本目で少し抜いてしまうとか、そういうところがあると思うので、日頃の稽古から詰めの甘さをなくしていくべきだと思います」

――世代交代を含め、全日本大会は一つのターニングポイントになるかもしれません。
「若手選手が多く出てきたという意味では、自分たちの代で言うと前田勝汰選手や加藤大喜選手が歴代の日本代表選手を食ってきた時のような雰囲気を感じます。絶対に勝つという強い気持ちがあれば面白いところまでいくと思うので、がんばってほしいですね」

――世界ウエイト制大会の時とは日本代表の顔ぶれが変わる可能性もありそうですね。
「その可能性もあると思います。また変わることがあれば面白いですよね。ただ今のトップ選手には若手選手の壁になってほしいですし、そうすることで若い選手ももっと稽古に励むでしょう。自分たちも山田一仁支部長などの先輩方に、何度も何度も跳ね返されてきました。その先輩たちのおかげで強くなれましたし、そういう経験が自分を強くしてくれると思うので楽しみです。全日本大会では若手選手と日本代表選手の融合に期待したいです」

――では最後に、あらためて全日本大会で期待することをお願いします。
「多田大祐選手がJKJO全日本大会で優勝するなど力をつけていますし、後藤優太選手なども含め外国人選手以外の選手にも勝っていかなければなりません。他流派に目を向けても強豪選手がたくさんいますので、しっかりと両方に勝てるように稽古を積み重ねてほしいです。他流派、外国人の両方に勝って初めて世界一にもなれると思うので、全日本大会での王座死守も必ず成し遂げてほしいですね」

第54回全日本空手道選手権大会
2022年12月24日(土)、25日(日)
国立代々木競技場 第二体育館(JR原宿駅、千代田線明治神宮前駅)
大会ページ
チケットぴあ


新極真会について 新極真会で心極める
新極真会への入会者募集中 入会希望者の方へ