――今年も全日本大会の前哨戦として、全関東大会に出場しました。
「どこまで動けるのかを試したかったので、出場してよかったです」
――収穫はありましたか。
「自分の技のリズムやテンポを、もう少し修正できると思いました。それは自分で感じたことでもありますし、母からも言われました」
――全関東大会で今年、何大会目の出場になりましたか。
「全日本大会を除けば8大会です。JFKO、新潟県フルコン大会、ドリームフェスティバル、全九州大会、全中部大会、廣重杯(極真拳武會主催)、群馬県大会、全関東大会です」
――他流派の廣重杯に出場した理由は何だったのでしょうか。
「大会が世界ウエイト制大会の前日(9月23日)だったんです。私はポーランドに行くことができなかったので、同じ時期に開催される階級別の試合にエントリーしようと思いました。決勝戦は不戦勝でしたが、優勝することができました」
――日本代表がアウェーで闘っている中で、鈴木選手もアウェーの舞台で闘っていたと。
「そうです。自分の中ではそういう意識でした」
――新極真会の大会に出場する時との違いはありましたか。
「はい。『新極真会の鈴木未紘』として見られると思うので、普段以上に負けられない気持ちが強かったです」
――ここまでハイペースで大会に出場する理由は何でしょうか。
「5月のJFKO全日本大会で浅古麗美選手と闘った時に、すごく緊張して地に足がついていない感じがしました。試合慣れしていないことが原因だと思ったので、周囲の目や緊張に慣れたいと思ったのが理由です」
――JFKO全日本終了後、すぐに年間スケジュールを決めたんですか。
「そうです。実戦経験が少ないので、どんどんやらないとダメだなと」
――ジュニアの頃も毎月のように大会へ出場していましたが、一般部は何かが違うのでしょうか。
「試合前の緊張感が違います。緊張の度合いは変わらないんですけど、緊張の仕方が違うというか。言葉で表現するのは難しいんですけど」
――年間を通じて一般部の試合に出続けたことで、克服できた部分はありますか。
「そうですね。だいぶ稽古の動きに近づいてきたかなと思います」
――やはり実戦でしか得られないものがあるんですね。
「今の課題と成長の度合いが明確にわかります。試合を重ねたことで、最後までしっかり構えを維持することができるようになったと思います。久保田千尋選手や浅古選手と闘った時は最後にどうしても腰が浮いてしまったので、最後まで重心を低くしたまま攻撃を出し続けられるかがポイントだなと思いました」
――構えと言えば、全九州大会あたりから構えが大きくなりましたね。
「去年の全日本大会で久保田選手と闘った時に構えが大きいと感じたので、自分もどうやったら大きく見せられるかを考えました。いいと思ったことは実戦で躊躇なく試していこうと思っています。自分に合うと思えばそのまま継続して、合わなければまた考えるという感じですね」
――経験値を積み重ねて臨む全日本大会ですが、強敵が多いですね。
「同じブロックで近いところにいる渡辺小春選手、小嶋夏鈴選手は意識します。小嶋選手とは毎週土曜日の関東強化稽古で組手をしていますが、最初の横蹴りは注意が必要ですし、中に入っても突きやヒザ蹴りがすごくうまいです」
――渡辺選手は、一般部デビューとなった昨年の第6回JFKO全日本大会で敗れた因縁の相手ですね。
「突きがうまいですし、去年よりもステップを多く踏んでいる印象があります。映像を見て対策も立てていますし、やっぱり渡辺選手と久保田選手には絶対にリベンジしたいです」
―― 昨年はトーナメントで近くに入った菊川結衣選手の映像を、100回以上見たと話していました。
「今回は全体的に見ています。去年は対菊川選手で頭がいっぱいでしたし、他の試合は勢いに任せてという感じでした。今年は勢いではなく、ちゃんと対策を立てています」
――勝ち上がれば、準決勝で浅古選手と対戦する可能性もあります。
「手島海咲選手や宇都宮美咲選手など新極真会同士で準決勝を闘うのが理想ですけど、浅古選手にリベンジしたい気持ちもありますね」
――今年も女子の最終ゼッケンは久保田選手が背負います。あらためて、久保田選手はどんな存在ですか。
「久保田選手がいるからこそがんばれるというか、久保田選手がいたから今の自分があると思っています。大きなモチベーションですね」
――久保田選手にはこれまで、大会3連覇を許しています。
「ここで私が終わらせます」
――昨年、決勝で闘ってみて、久保田選手の強さは何だと思いましたか。
「隙がないというか、映像で見るよりも実際に闘った時のほうが強いと感じました。でも、本戦でも最終延長でもどんな形でもいいので、とにかく新極真会の王座を守らなければいけないと思っています。必ず私が新極真会を守ります」
――今大会は、第13回世界大会の第1次選抜戦でもあります。
「他流派選手が2枠獲るようなことは絶対にあってはいけないですし、ここで獲らないと世界大会は厳しくなると思っています。必ず優勝して来年につなげます」
――世界ウエイト制大会では女子の3階級を日本が制した一方、重量級は184cmの長身を誇るリトアニアのブリジタ・グスタイタイテ選手が優勝を飾りました。「海外勢に王座を獲られて悔しかったです。稽古ではあそこまで身長が大きな選手と手合わせできないので、来年を見据えてしっかりイメージしながらやっていくしかないですね」
――あらためて、世界大会への思いを聞かせてください。
「無差別の世界大会はあこがれの舞台であり、一番の目標です。次はしっかり自分が日本を背負います」
――過去の世界大会で、とくに印象に残っている選手はいますか。
「第9回大会で優勝したヴェロニカ(・ソゾベトス)選手ですね。リアルタイムでは見ていないですけど、背が高くてパワーもスピードもあって、圧倒的な強さでした。でもだからこそ、そういう選手に勝ったら格好いいなと思って見ていました」
――当時のヴェロニカ選手に当たるのが、久保田選手かもしれません。
「そうですね。決勝で久保田選手に勝ったら格好いいですよね。去年は初出場でしたし、菊川選手を倒さなければ先がなかったので、あの試合にすべてをかけていました。今年は組織のためにも、自分が優勝するしかないと思っています。そこまで強く思うのは初めてなんですよね。前までは自分のことしか考えられなかったんですけど、今はそういう気持ちが生まれてきました。必ず優勝して、私が新極真会の王座を守ります」
第54回全日本空手道選手権大会
2022年12月24日(土)、25日(日)
国立代々木競技場 第二体育館(JR原宿駅、千代田線明治神宮前駅)
大会ページ
チケットぴあ
すずき・みひろ(厚木・赤羽支部)
2005年8月9日生まれ、17歳
東京都出身。167cm、65kg
●第53回全日本大会準優勝
●第7回JFKO全日本大会軽重量級3位